いまの子どもたちを取り巻く状況をふまえて作られたピアノ教本。1人でもすいすい弾ける子増加中!
ピアノ教本/クラシックピアノ
2024.3.12更新:
ピアノの先生のための情報「レッスン・プラス・ワン」掲載情報を追加しました
山本美芽 著/音楽之友社
ひとりですいすいひける! はじめてのピアチャレ
JAN:4510993614901
ISBN:9784276451261
山本美芽先生ご自身が「はじめてのピアチャレ」をご紹介くださいました!
(㈱松沢書店発行「ピアノの先生のための情報紙 レッスン・プラスワン」209号)
ピアノの先生のための情報紙
レッスンプラスワン
ひとりですいすいひける! はじめてのピアチャレ 山本美芽
♪生徒さんがひとりでどんどん進められる導入テキスト
生徒さんをとりまく音楽環境は、昭和の頃とは相当に変わっています。子どもが《ちょうちょう》《ぶんぶんぶん》を知らない。共働き家庭が多く、保護者は仕事と家事育児で戦争のように忙しく、なかなか子どもの練習につきあえない。親子で手遊びをしたことがあまりない。……これは全国的に起こっている現象です。
それでもピアノが習いたい、弾けるようになりたい。そんな気持ちに応えるべく、子どもたちが自分ひとりでも練習しやすく、ピアノの基礎を習得できる導入テキストを考えました。本書は、《メリーさんのひつじ》《かえるのがっしょう》など、Cポジションで弾ける童謡16曲を素材として、小学校の音楽教科書と同様に、音符の中に「どれみ」の文字を入れた導入教材です。イラストは、たかしまてつをさんに依頼しました。『とりがいるよ』などの幼児向けの絵本が子どもたちから大人気の方で、時間をかけて描いてくださいました。帰宅して疲れている子どもたちが、ピアチャレの世界に飛び込んでいけそうなイラストです。
♪少しだけ弾き、少しずつ進むことで「できた!」を積み重ねる
音感がまだ育っておらず譜読みができない子どもが、大人のサポートもなくピアノに向かうとき、知っている曲なら取り組みやすいのです。最初は歌詞で歌って、次に手拍子をつけて歌詞で歌い、そのあとドレミで歌いましょう。できたら、童謡のごく一部分の弾きやすい場所だけを切り出して、少しだけ弾いてみます。この【少しだけ】というのがポイントです。
童謡を弾きはじめた生徒が、曲の途中で頓挫してしまう姿を私はこれまで沢山見てきました。だから、2小節程度で少しずつ、いろいろな曲のさわりを弾いて、「弾けた」「できる」という実感を無理なく積み重ねていきます。
また、右手で弾いた曲は左手でもチャレンジして、最後は両手へと進んでいきます。両手奏では、左右の違うリズムを弾くのが難しいので、なるべくやさしく、見たまま感覚的に弾いたら楽譜通りに弾けるように、左右同時に弾きやすいリズムにするよう心を砕きました。
音符の中に入れた「どれみ」の文字は、小学校1・2年生の音楽の教科書や、幼児向けの鍵盤ハーモニカの教材からヒントを得ました。拙著『音楽力を伸ばす「譜読み」の基本~楽譜攻略13のステップ~』(ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス)の執筆の際に研究したものです。ドレミの文字を見ながら歌うことで音感が育って譜読みの基礎に、楽譜を見ながら弾くことで初見の基礎になります。音符が読めるようになったら、
「どれみ」は塗りつぶして使うのも一案です。
さらに、既存のピアノ教本にスムーズに入るための準備としてもお使いいただけます。ピアノ教本と併用する際には、Cポジションが出てくる場所を見つけて着地するのもいいですし、それが難しそうなら最初から順番にていねいに進むのもいいでしょう。
ピアチャレの反復で基礎力をつけ、「こんどの本は、ピアチャレとは違ってドレミが書いてないし、知っている曲じゃないけれど、頑張ってみよう」という意識になれたら最高です。
山本美芽(やまもと・みめ)
音楽ライター/ピアノ教本研究家。東京学芸大学大学院教育学研究科修了。ピアノ教育とジャズ・フュージョンを軸に執筆。音楽誌「ムジカノーヴァ」「ジャズジャパン」などに寄稿。ピアノ教本研究家として全国で講演を行う。ピアノ講師としても指導に携わる。Facebookで「山本美芽ライティング研究会」を主宰、多くのピアノ講師とともに次世代のピアノレッスンの在り方を追求、発信している。