【著者インタビュー】“ザイツのコンチェルト”までに身につけたい基礎を、たのしく確実にマスター! 音楽之友社「ヴァイオリン ミッションブック」
弦楽器
ヴァイオリン ミッションブック
ザイツまでにやっておきたい基礎 完全攻略
高橋里奈 著/音楽之友社 刊
税込2,420円(本体2,200円+税)
好評発売中!
先日発売されたばかりの「ヴァイオリン ミッションブック」は、ヴァイオリン初級者が“ザイツのコンチェルト”に取り組む前段階で身につけておきたい基礎が集約されたテキスト。どの教本とも併用でき、各ページの「ミッション」をクリアしていくことで、教本の内容と連動したペーパークラフトが作れるなどの楽しいしかけも。今回は著者の高橋里奈先生に、お話をお聞きしました。
高橋里奈先生 国立音楽大学器楽学科ヴァイオリン専攻卒業。ソロ・室内楽などで研鑽を積む。音楽教室でヴァイオリン講師として、数多くの生徒さんとめぐり合う。2000年から2年半のロンドン留学中にTrinity College of MusicのFellowshop(FTCL)を取得し、帰国。この間、ヨーロッパ各地で行われたセミナーに多数参加し、各教授陣のさまざまな指導法を体験する。帰国後、自信の音楽教室を立ち上げる。レッスン内で起こった問題を解決するために、各国の教則本を取り寄せながら、テクニックの指導を研究する。2016年にオリジナルメソッドを確立。 |
◆ザイツのコンチェルトを確実に弾きこなすために
――「ヴァイオリン ミッションブック」はどんな内容で、どのような人に向けて書かれた本ですか?
「ヴァイオリン ミッションブック」はザイツのコンチェルトを確実に弾きこなせることを⽬標として構成されています。
ザイツのコンチェルトはヴァイオリンを始められた学習者にとって、最初の3楽章形式の⼤曲になります。この曲をしっかりと弾き切るテクニックを育てておくことで、その後さらに難しくなるヴァイオリン学習曲にも取り組みやすくなります。
さまざまな年代の皆さまのお役に⽴てるよう、誌⾯はひらがなを使⽤しておりますが、内容はしっかりとしたものとなっています。
左⼿の指の使い⽅・右⼿の各種奏法の習得法などは、すでにヴァイオリンを楽しまれている愛好家の⽅々にも、復習やさらなるテクニックの向上にお使いいただけるものと確信しています。
―― 他のヴァイオリン教本とはどんなところが違うのですか?
この教本には、「ヴァイオリン曲」は⼀つも掲載されておりません。併⽤教材として、今勉強されている主教材と併せてご活⽤いただくことでテクニックの習得が確実に進むように、また、初めてヴァイオリンに親しむ⽅にも理解していただけるように、リズムの取り⽅など⾳楽のイロハも交えて作成しております。
3部構成となっており、ヴァイオリン学習に必要な3つの要素「がくふ」「ひだりて」「みぎて」に分かれています。最初から順番に練習するというより、各要素をバランスよく練習していくことをお勧めします。
―― ヴァイオリンを学習している人、教えている人へのメッセージをそれぞれお願いします。
ヴァイオリンを学習している⽅へ
すでにヴァイオリンを楽しんで演奏されている⽅でも「この奏法苦⼿だな」と思われることがあると思います。特にスピッカートなどはヴァイオリン学習の上でも⼀つの壁となる奏法です。ザイツのコンチェルトはすでに学習されたかもしれませんが、その中には左⼿・右⼿合わせて様々な奏法が求められていますので、今⼀度演奏なさってみてください。もしかしたらきちんと習得ができていなかった奏法が⾒つかるかもしれません。そんな時、この教本がお役に⽴ちます。左⼿や、右⼿の奏法の詳しい習得⽅法を動画でもご説明しておりますので、⽂字よりさらにわかりやすく、ご理解いただけること間違いありません。
ヴァイオリンの先⽣⽅へ
私が30年に渡るヴァイオリン講師レッスンの中で、ザイツとそれ以降では、求められることが⼤きく異なること。そして、ザイツまでを駆け⾜で⾏ってしまうと、ヴィヴァルディのコンチェルト以降、先⽣も⽣徒さんもとても⼤変になってしまうことを痛感してきました。伝えなければいけないテクニックが増え、曲も⻑くなる中、レッスン時間内に表現まで伝えきれないことも出てきます。ヴァイオリン演奏は⾃⼰表現のための⼿段ですから、これでは消化不良になってしまいます。
⼤先⽣⽅の残してくださった⽴派な教本が多数ありますが、発⾏からすでに60年ほど経過されているものも多く、残念ながら現在の⽣活様式の変化や⾳楽学習で求められる内容の変化には対応できていない部分も多く⾒受けられます。また、具体的な奏法等への記述が少ないこともあり、そこの隙間をうめるべく当教材を作成いたしました。
新しくヴァイオリンを始められる⽣徒さん、また、すでに学習を始めていらっしゃる⽣徒さんに、主教材とともにお使いいただけます。皆さまのレッスンの主⼒としてご活⽤ください。そして、先⽣⽅が伝えたいことが⼗分に伝えられ、充実したレッスンになりますように。