第7番は、初演当時からもっとも好評を博したベートーヴェンの交響曲であり、現在でも屈指の人気を誇る傑作。作品のスケッチは1811年9月ごろまで遡り、性格の異なる双子作品である第8番とともに作曲が進められた。初演は1813年12月8日、ウィーン大学講堂における傷病兵のための慈善演奏会で、作曲者自身の指揮によって行なわれた。熱狂する聴衆の求めによって、第2楽章が繰り返されたのは有名なエピソード。ワーグナーがこの曲を「舞踏の神格化」と評したことも、しばしば引用される。新たな様式期を切り開いたという位置づけにはないが、木管楽器の自由な活用、第1楽章の緩徐導入部、主題の旋律性、遠隔調域の確立、根源リズムの集積による高揚感など、無理なく処理された音楽的進行に、多くの機知が込められており、広い意味での「中期様式」最終段階にある、と解説者は見る。
交響曲 第7番イ長調 作品92
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