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J.S.バッハ《左手のための24の小前奏曲集》について
J.S.バッハ《左手のための24の小前奏曲集》は、ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(1685-1750)が鍵盤楽器のために作曲した珠玉の小品を、左手によるピアノ演奏用の中級レベルの楽曲として各巻6曲づつ、全4巻をまとめて編曲・編纂した曲集です。「バッハの小前奏曲」とは、一般的には<9つの小前奏曲BWV 924-932>、<6つの小前奏曲BWV 933-938>、<5つの小前奏曲 BWV 939-943>として後世の手によって編纂され、親しまれてきた一連の小品を指します。この曲集では「バッハの小前奏曲」を中心としつつ、そこには含まれていない小品からも選曲を行い、6曲1巻にまとめました。尚、第1巻と第2巻については、左手のピアニスト智内威雄氏が主宰する左手のアーカイブから出版している作品を再編纂して収載しています。左手の訓練の一助として、両手及び左手のピアニストのための新たなレパートリーとして制作しました。
編曲にあたっては「左手による演奏」に無理が生じないように配慮したことはもちろんですが、他方でなるべくピアノ特有のダイナミズムには依存することのない編曲を心がけました。そうすることで、片手奏法の面からバッハ作品の解釈幅を広げる可能性を模索しました。また、本曲集の譜面は一段譜と二段譜で作成されていますが、二段譜の譜面では上段と下段の間隔が通常よりも狭く、ト音譜表とへ音譜表との間で中央ハ音を共有した特殊なレイアウトを採用しています。これはバッハの<ゴルトベルク変奏曲 BWV988>の初版譜から着想を得ています。このレイアウトでは上下段の五線を跨いでも同じ音程は常に同じ間隔となるため、譜読みが容易になること、及び視覚的な面から楽曲構造が理解し易くなる点が利点として挙げられます。尚、曲集として再編纂するにあたり、調性の配列や各巻を連続演奏するにあたっての音楽的な流れについては必ずしもバッハ時代の制約を意図せず、基本的には平均律で調律されたピアノでの連続演奏を前提とした配列を行いました。難易度順に構成されていませんので、演奏者各々の習熟度に従って適宜相応しい楽曲に取り組んで下さい。また、本巻の第4曲 変ホ長調では原曲のまま全音符和声体のみで記譜しており、バッハ時代の慣例に倣って展開は演奏者に委ねています。是非、各々の演奏者独自の展開にもチャレンジしてみて下さい。
本曲集が、愛好家を含めた多くのピアニストの皆様に新しい喜びをもたらし、バッハ鍵盤音楽の新たな側面に光を当てるきっかけとなれば、望外の喜びです。
令和6年7月吉日 田中博幸・高久弦太
※編曲・校訂にあたっては、新バッハ全集を底本とした。
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