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★解題★
ディオジェニオ・ビガリア神父の12曲から成る「ヴァイオリンまたは flauto と通奏低音のためのソナタ集」が、「作品1」として1722年ごろアムステルダムで出版されました。タイトルにある「flauto」は、この場合は、どうやらリコーダーと横吹きフルート(フラウト・トラヴェルソ)の両方を念頭に置いた言い方だったらしく、全12曲のうち、番号で言うと第3、4、6、9、10、12番にあたる6曲のソナタが、音域や調性からみてアルトリコーダー用で、他の6曲はフラウト・トラヴェルソ用とみられています。
しかし、第11番もアルトリコーダーの音域外の音がほぼ含まれておらず、アルトリコーダーでの演奏も十分可能です。
★解説★
本作がその第11番で、4楽章構成の生き生きとした傑作です。3つの楽章は完全にアルトリコーダーの音域におさまっていますし、第2楽章にたったひとつだけ音域外の音がありますが、これもごく自然に音域内の音に変更が可能。アルトリコーダーでの演奏をあきらめるのはまったく惜しい作品だと思います。
第1楽章はアダージョ(ゆっくりと)、4分の4拍子で、くっきりとした旋律線で描ききった名品です。ただ、2拍目から始まるのですが、これがどうも4拍子の2拍目とは感じにくく、むしろ4分の4拍子であるとすれば4拍目のように感じられます。あるいはいっそ、最初の2拍分は4分の2拍子の1小節目、続く3拍は4分の3拍子で1小節を構成しているのではないか、とでも考えたくなるほどです。いずれにせよ、かなり変則的な拍数のフレーズ割りになっており、それも面白さの源泉になっています。
第2楽章はアレグロ(快活に)、4分の2拍子です。鮮やかに一閃するような下降音階で始まり、爽快きわまる快速感を持つ音楽をくりひろげていきます。同一音型を「もう1回か?」と思うほど何度も繰り返したり、短い音型にもとづくゼクエンツを「まだ行くの?」と思うほど長く引っ張ったりするのはビガリアらしい語り口ですが、それがことごとく魅力的な効果を上げています。56小節最後に本作唯一の音域外音「(低い)レ」があります。しかし平行箇所などから考えると、アルトリコーダー音域内音である「低いソ」でもかまわない、という以上に、むしろ「低いソ」の方が良いのではないか、とさえ思われます。もしかすると、「無理にでもリコーダー用と横吹きフルート用を半々の6曲ずつとしたい」との考えがあったなど、何か特別な事情が影響しているのかも知れません。
第3楽章はアンダンテ(歩くように)、4分の3拍子です。前後半をそれぞれ繰り返す二部形式。両部分とも、2小節の動機を執拗に用いて音楽を組み立てていき、ヘミオラで終止するという形で、カッチリとまとめられています。
第4楽章は再びアレグロで、4分の3拍子。かなり速い音楽でしょう。この楽章だけはリピートの指定がないので、ストレートで一気に駆け抜けます。演奏上のポイントとしては、まず、エコー効果の指定されたフレーズ(多数あります)をどう演奏するか。また、2拍目に多用されている「前打音+二分音符」を、不均等に(つまり前打音をごく短く)演奏するか、それとも四分音符2つとして演奏するかによっても、演奏の様相は大きく違ってきます。
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