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ウクレレ/カリンバ その他楽器

ソナタ イ短調
ベベル写本 第4番
★解題★

 17世紀終わりごろのリコーダーソナタ 25曲を中心とする、チャールズ・バベルの写本(ロチェスター大学シブレー図書館所蔵)で、第4番として収録されているソナタです。


★解説★

 6つの楽章から成っています。全体に比較的短く、第4・第6楽章以外には繰り返しの指定もないので、小粒な取り組みやすいソナタだと言えますが、劇的な緊張感も持つ名品です。

 第1楽章はモデラート(穏やかに)、4分の4拍子です。つぶやくような、印象的な短いモチーフで始めて、やがて少し訴えかけるような調子もまじえながら音楽を進め、コンパクトにまとめています。

 第2楽章はアレグロ(快活に)、4分の3拍子。本作のなかでも最も豊かな内容を持つ楽章です。小気味よいアクセントを利かせながら快調・爽快に進む音楽で、途中、2度ほど短い間奏を挟んでいます。

 第3楽章はラルゴ(広々と)、4分の3拍子の短い短い間奏曲です。いちおうイ短調の主和音で始まっていながら、すぐにふらふらといろいろな調へゆれ動き、やがてイ短調で終止します。最後に通奏低音だけの短い後奏があって半終止します。

 第4楽章はレント(ゆっくりと)、2分の3拍子です。最初に示した物悲しく穏やかなテーマを丁寧に扱って、きれいに唱歌形式にまとめています。

 第5楽章はアリアと題され、プレスト(速く)と指定されています。すばしこい感じで歌いだし、リズミカルに下ってくるテーマは、堂々たる風格を持っています。このテーマを丁寧に扱いながら語り進めます。

 第6楽章は再びアレグロで、4分の6拍子です。小気味よいアクセントを利かせたリズミカルな音楽で、短いながらも、気宇の雄大な、すぐれた終曲になっています。


ソナタ ハ短調
ベベル写本 第7番
★解題★

 17世紀終わりごろのリコーダーソナタ 25曲を中心とする、チャールズ・バベルの写本(ロチェスター大学シブレー図書館所蔵)で、第7番として収録されているソナタです。


★解説★

 ひとまず、7つの楽章から成っているとみることができます。ただし、第1楽章は、第2楽章に対する導入(序奏)のような役割で切れ目なく第2楽章に続いていますし、第4楽章が、また第1楽章を途中から回想したような内容になっていて、いくらか不明確さが残っています。

 第1楽章はアダージョ(ゆっくりと)、4分の4拍子で、ハ短調です。G-A♭-Fと進む2つの二部音符が凛とした響きで鳴りわたる開始から、4小節半ほどの主題を示します。そして、おもに主題の後半部の動機を扱って語り進め、やがてしめくくるのかと思いきや、そのまま止まらずに第2楽章のイントロへ続きます。

 第2楽章はパッサカリアと題され、2分の3拍子です。重厚に演奏する行き方もあるかも知れませんが、RJPではかなり速いテンポを採用しました。最初に示された低音パターンが何度も出てくるという点では、パッサカリアやシャコンヌの特徴を持っていると言えます。が、途中で下降ゼクエンツのパターンも出てきて重要な役割をしますし、何より独奏楽器の旋律線は主として同じことを繰り返していて変化を加えられていないなどの点で、ふつうのパッサカリアとは趣が違います。

 第3楽章はカンツォンと題され、4分の4拍子です。1オクターブにまたがって下降する音階の上で、リコーダーが細かいリズムの主題を奏でますが、それをいくらか模倣しつつ低音が短く応答。以下、長短さまざなまに変化させた提示と応答が行われながら音楽が進みます。

 第4楽章は、第1楽章を再び途中のト短調の部分から始めて、いくらかつづめながらもう1度なぞったような楽曲です。これで終わっていれば、A-B-C-A’ という形にまとめられたコンパクトなソナタになりそうです。

 第5楽章はアリアと題され、2分の拍子です。音階で下っていく低音(第3楽章を思い出させます)に乗ってリコーダーが示した動機を受けて低音が同度(2オクターブ下)で模倣して始まり、リコーダーが、あらためて同じ動機から始まる8小節ほどの主題にまとめます。以下この主題を扱って語り進め、最後はもう1度この主題を(後半に変奏を加えながら)再現して終わっています。歌謡性が強く、リズムも生き生きと躍動する佳品で、実はヘンリー・パーセルのオペラ「妖精の女王」のアリア「Thus the ever Grateful Spring」をそのままソナタ楽章に取り入れたものです。ロジエが引用したのか、写譜屋のバベルの仕業なのか。

 第6楽章はアレグロ(快活に)と指定され、4分の3拍子です。ほぼ1拍子で感じられるほど速いテンポが合うでしょう。舞曲風の形式にまとめられており、前半・後半それぞれに繰り返しの指定があります。実に颯爽とした味わいです。

 第7楽章はスビト(すぐに)と指定されていますから、第6楽章が終わったら間を置かずすぐに演奏を始めるのが良いのでしょう。4分の6拍子ですので、第6楽章のテンポを受けて、ほぼ同じテンポで演奏することになりそうです。力強い開始から、途中、やや不思議な(テンションの高い)和声になる箇所を通って、やや軽くステップするような趣も取り入れつつ語り進めます。堂々たる風格の終曲です。
 
 
ソナタ ト短調
ベベル写本 第11番
★解題★

 17世紀終わりごろのリコーダーソナタ 25曲を中心とする、チャールズ・バベルの写本(ロチェスター大学シブレー図書館所蔵)で、第11番として収録されているソナタです。


★解説★

 4つの楽章から成っています。通奏低音による後奏がある楽章が多いのは、このころ(17世紀末)のソナタによくみられる特徴です。どの楽章も短めでコンパクトにまとまっており、技術的な困難も少ない、取り組みやすいソナタです。

 第1楽章はアダージョ(ゆっくりと)、4分の4拍子です。ふかぶかとした低音域からゆったりと始まる主題は、後半やや高い音域で訴えかけるような表情になります。この主題を扱いながら語り進めますが、全体に情緒の動きは少なくて、いわば思索的な感じの曲調です。

 第2楽章は4分の3拍子で、アフェット(愛情)とありますが、コン・アフェット(Con Affetto 愛情深く)の意味なのでしょう。しかし内容的にはかなり速いテンポが合いそうな活発な感じの曲です。あまり荒々しい感じに演奏されたくない、という気持ちからの指定なのかも知れません。

 第3楽章は4分の4拍子のカンツォンです。途中に1箇所、「エコー」の指定があります。前半はもっぱらリコーダーに主題が現れますが、後半に入ると低音が主題を提示する場面も出てきて音楽に緊迫感が増し、最後はかなり大きな盛り上がりをみせます。

 第4楽章は4分の6拍子で、アレグロ(快活に)と指定されています。休符をたくさん用いてぽつぽつと音を置いていくような独特の語り口で始まりますが、やがて普通に音がつながる音楽になってきた、と思うと急速にクライマックスを築き、そしてあっといういう間に終わります。全曲をしめくくる最後の音も、ぽつんと四分音符ひとつという究極の軽さで、お茶目といおうか洒落ているといおうか。
第1楽章/第2楽章/第3楽章/第4楽章/第5楽章/第6楽章/第1楽章/第2楽章/第3楽章/第4楽章/第5楽章/第6楽章/第7楽章/第1楽章/第2楽章/第3楽章/第4楽章

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