映画大好きスタッフが紹介!〈映画から聴こえてくる音楽〉Vol.3:「リアル・ペイン~心の旅~」
ウクレレ/カリンバ その他楽器
リアル・ペイン
~心の旅~
監督・脚本・製作・主演
ジェシー・アイゼンバーグ
1月31日(金)に公開された映画『リアル・ペイン~心の旅~』をご紹介します。
全編がショパンの名曲に彩られた、ポーランドの名所と歴史を巡る、心温まるコメディ・ロードムービー
本作品の舞台ポーランドといえば、ショパンの生まれ故郷。様々な歴史や人々の営みを経過した美しい名所や風景をショパンのピアノ曲が冒頭から最後まで全編を彩っています。
常識人のデヴィッド(ポスター右)と奔放でマイペースなベンジー(ポスター左)の二人は亡くなったばかりの祖母の遺言に従い、ポーランドの歴史を巡るツアーに参加し、彼女の生家を目指します。ユダヤ系アメリカ人である二人にとって、ポーランドは彼らのルーツに深く根ざした特別な場所……祖母はアウシュヴィッツ強制収容所におけるホロコーストを生き延びた人物だったのです。
美しいショパンと悲惨な歴史の爪痕…どちらもポーランドの側面であり、どちらも人間によってなされたもの。その矛盾と乖離に直面することでベンジーはメンタルを過敏に揺さぶられ、ときに不可解な言動で周囲を巻き込み、デヴィッドをひどく困惑させます。ツアー参加者のメンバーらは戸惑いつつも、非常識ながら人並外れて正直で無垢なベンジーに徐々に感化されていきますが…
主人公デヴィッドを演じたのは本作で監督・脚本・製作も兼ねるジェシー・アイゼンバーグ。そしてベンジーを演じるキーラン・カルキンは、物語上で最も重要かつ複雑なキャラクターの魅力を存分に引き出しており、確かな余韻を響かせてくれます。キーランの実兄であるマコーレー・カルキン(『ホーム・アローン』)は俳優業をすでに引退していますが、キーランは地道にキャリアを重ねており、本作ではすでにゴールデングローブ助演男優賞を受賞したことから、今年度アカデミー助演男優賞でも最有力候補と言われています。
映画館ならではの贅沢な音響でショパンの数々の名曲とポーランドの美しい風景に浸りながら、歴史の重みを踏みしめながらユーモア溢れるツアーに参加してみませんか。
ぜひ劇場でご覧ください。
そして、1~2月はこんな音楽映画も公開されています。
ドリーミン・ワイルド
名もなき家族のうた
1月31日公開
オスカー俳優ケイシー・アフレック主演 × ビル・ポーラッド監督最新作。
アメリカの兄弟デュオ「ドニー&ジョー・エマーソン」の実話をもとに描いたヒューマンドラマ。
名もなき者
A COMPLETE UNKNOWN
2月28日公開
ティモシー・シャラメ主演。
ミネソタ出身の無名のミュージシャンだった19歳のボブ・ディランが、時代の寵児としてスターダムを駆け上がり、世界的なセンセーションを巻き起こしていく様子を描いていく伝記ドラマ。
記事を書いた人:わだ
![]() | 大阪出身、東京在住の40代。娘1人息子1人。 趣味は映画/海外ドラマ。劇場で年間60~80本鑑賞。 |