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★解題★
J.C.シックハルトの「12のソナタ 作品23」は、1720年ごろに、アムステルダムで出版されました。「作品17」の12曲とともに、作曲者の壮年期を代表する充実した力作ぞろいの作品集です。
★解説★
4楽章から成り、ゆったりしたテンポの前奏曲に、活発な舞曲が3曲続くという構成です。シックハルトが得意としたフィールドでとてもよく力を発揮した傑作だと言えるでしょう。
第1楽章はアダージョ(ゆっくりと)、4分の4拍子です。テンポは速くないものの、淡々と遅滞なく歩み進む感じがあり、かなり細かい音価の音まで駆使してきめ細かく歌い込んで行きます。最後に2小節のエピローグがあり、半終止で第2楽章を呼びます。
第2楽章は4分の4拍子、アレグロ(快活に)と指定され、ヒタヒタと16分音符が刻む気持ちのいいノリで進むシックハルトが得意としたアルマンドです。1オクターブの下降音階で始まり、16分音符刻みを基調として進みますが、奇数拍の頭の音や、各拍の頭の音が旋律を形成する(それ以外の音は脇役である)ような書法になっている箇所があって、演奏するさいには注意が必要です。前半しめくくりは1オクターブの上行音階。続く展開部分から再現~収束にかけては、ジグザグ音型で「ひとり2声」を演奏する技法やゼクエンツを効果的に用いてさっそうと進めています。すみずみまでよく彫琢された佳品。
第3楽章は4分の3拍子で、シックハルトによくみられる付点の跳ねるリズムを基調としたコレンテです。とても念入りにモノを言う(大事なことは2回言う、みたいな)方針で書かれているのが特徴で、そのためクライマックスも重層的に築かれるようになっており、非常にスケールの大きな楽章になりました。舞曲という器を借りてはいますが、力強く語り進める特異な傑作だと思います(異論もあるかも知れませんが)。
第4楽章は8分の6拍子のジーグです。16分音符を含むモチーフが出てきますので、これを鮮明に効果的に演奏できるテンポというと、そう無茶な速さで演奏するわけにはいきません。ここでも、「これでしめくくったのかな」と思うとさらに1フレーズある、というような念入りな進め方が採用されているように思います。最後のクライマックスで16分音符を含むモチーフが登場するとき、「異様なお祭り騒ぎ」になるように表現できたら面白いのではないでしょうか。
第1楽章/第2楽章/第3楽章/第4楽章
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