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★解題★
1720年にベネチアで出版された、アルトリコーダーと通奏低音のための12曲のソナタ集に収められた作品です。モチーフの造形がくっきりとしていて印象が鮮やかで、説得力のある展開が行なわれていく、実力を感じさせる作風です。
★解説★
緩急緩急(おそらく)の4楽章構成です。しっかりと書き込まれた手抜きのない力作にして傑作です。
第1楽章はアダージョ(ゆっくりと)、8分の12拍子です。分散和音で彫り深く歌い上げたあとゼクエンツになり、やがてト短調に終止する長いフレーズで始まります。表情の変化が味わい深く、内容豊かな開始楽章になりました。収束の念入りさ力強さも耳に残ります。
第2楽章は発想表示がなく、4分の3拍子の、おそらく快速楽章です。力強い3音の分散和音で始まり、すばしこい動き、なだらかな上下と多彩な表情をみせる最初のフレーズで、収束を告げるヘミオラの開始和音が、別に珍しくもない「属七の第3転回形」でありながら、実に鮮烈な新鮮さで響きます(後半でも出てきます)。二部形式の前半の最後、終止音(と言ってもこの場合は「半終止」ですが)を「吹かせてもらえない」のも、作品3-6のソナタの第4楽章を思い起こさせる、やや珍しい趣向です。
第3楽章は再びアダージョで、変ロ長調、4分の4拍子の短い間奏曲ふうの楽章です。慰撫するかのような開始は実にやすらかです。やがて華やかな装飾的な句でいくらか腕前を披露してから収束へ向かう‥‥‥のかと思ったら、突如、音楽が翳りを帯び、ハ短調の属和音に半終止して第4楽章を呼ぶ、という事件になります。
第4楽章は発想表示のない4分の2拍子で、快速に(たぶん)演奏される終曲です。二部形式で、前半・後半とも繰り返されます。強い個性を感じさせるようなところは特にありませんが、手堅くまとめられていますし、キビキビとした運動性は、この種の快速楽章として第一級の魅力を持っています。
第1楽章/第2楽章/第3楽章/第4楽章
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