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吹奏楽 アンサンブル

トロンボーンアンサンブル楽譜 竹取物語~トロンボーンカルテットための組曲

税込価格(本体):
6,600(6,000)円
出版社:
フォスターミュージック

2010年秋、皇居内書陵部での展覧会で偶然目にした一枚の絵。そこに描かれていたのは、年老いた竹取の翁が、手の平にのせた小さなかぐや姫を愛おしそうに見つめる姿でした。
絵を見ていると、不思議とどこからか聞こえてきたのはTINTSが演奏するトロンボーンの響き。 <br>
2007年冬にTINTSと出逢った私は、その後も何度となく作品を提供するうちに、次第に彼女たちの魅力に惹かれていきました。確かな演奏テクニックと豊かな表現力。そしていつも音楽に対する真摯な姿勢を忘れない4人の若き女性トロンボニストたちのために、
彼女たちの持ち味である柔らかく透明感のある音色を生かして、かぐや姫とその物語を表現したい・・・。そう強く思うようになりました。のちに、TINTSから10周年記念公演のための作曲の依頼を受けた際に、
私は迷わずその新作のアイデアを彼女たちに伝え、早速創作に取りかかりました。 <br>
「竹取物語」作曲にあたっては、まず原文を手に取り、同時に星新一氏の口語訳を読みながら、次第にかぐや姫とその世界に対するイメージを膨らませてゆきました。そして、物語を読み終えると、それまでに自分が描いていた「かぐや姫」のイメージとは異なるもう一人の「かぐや姫」が私の中で動き始めました。
本作品、組曲「竹取物語」では、かぐや姫の美しくもせつない物語が五つの場面で構成されています。 日本古来よりの雅な世界を味わいながら演奏して頂けましたら幸いです。 <br><br>
初演:2013年11月22日 Trombone Quartet TINTS 10周年記念公演 <br>於 三鷹市芸術文化センター 風のホール <br><br>

光る竹<br>
竹取の翁が、竹林の中で一本の光輝く竹をみつけ、その竹を割ってみると、中から三寸ほどのかわいい女の子が現れた。
竹取の翁とその妻はその子に“かぐや姫”と名付けて自分達の子供として大切に育てた。 <br>曲中に登場するグリッサンドは、雅楽の笙(しょう)や篳篥(ひちりき)の音を表しており、
幻想的な世界の幕開けとなっている。 <br><br>

竹取の翁<br>
子に恵まれなかった竹取の翁は、それはそれはかぐや姫を愛おしく思っていたが、いつかは嫁にいき、自分の手から離れていってしまうと思うと、胸が詰まる思いだった。
<br>冒頭、バストロンボーンのメロディは、翁のテーマとも言うべく、せつない想いを歌っている。 <br><br>

五人の求婚者<br>
かぐや姫の美しさはたちまち噂となって広がり、多くの男達が求婚しようと姫の家に押し掛けるが、姫は一向に相手にしない。
そのうち諦める者も出てきて、最後に残ったのは五人の男達だった。かぐや姫はこの男達に、手に入れ難いあらゆる物をそれぞれに命じ、
「その物を持って来られた方におつかえします」と告げる。男達は手に入れようと必死になるが、誰一人成し遂げられた者はいなかった。 <br>
冒頭4/4拍子は男達のどこかマヌケで滑稽な姿を、5/8拍子からは“5人”が死に物狂いで命じられたものを手に入れに行く姿を表している。 <br><br>

姫と帝<br>
帝までもがかぐや姫に興味を抱き、一目見ようと姫の家を訪れるが、姫は帝の求婚さえも受け入れなかった。しかし、一瞬だけ姫と目が合った帝はその美しさが忘れられず、
姫に手紙を出すと、姫はそれに和歌で応えたのだった。 <br>メロディの掛け合いは、姫と帝の文のやりとりを表して、お互いの心が徐々に近づいていくのを予感させる。 <br><br>

月の世界へ<br>
やがて、三年の月日が流れるとかぐや姫は「私は月の都の人であり、十五日の満月の夜に月に帰らなくてはならないのです」と泣きながら告げる。
いよいよその日になると、翁や帝をはじめ大勢でかぐや姫を守ろうとするが、月の使者の力を前に成す術もなく、姫は天の羽衣を着せられると全ての記憶が消えて、月の世界へと帰っていった。
<br>曲の冒頭から姫が月へ帰るその時が近付いてきている事を暗示している。一曲目『光る竹』の旋律が再び登場すると、いよいよ別れの時が訪れ、かぐや姫が月の世界へと導かれてゆく。
厳かで切ないクライマックスを迎え、曲は幕を閉じる。 <br><br>

Trb. 1/Trb. 2/Trb. 3/Bs.Trb.
トロンボーンアンサンブル楽譜 竹取物語~トロンボーンカルテットための組曲

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