トリオソナタ ハ短調 作品16-7
★解題★
J.C.シックハルトの「作品16」は、2本のアルトリコーダーと通奏低音のために書かれた12曲から成るトリオソナタ集で、1710年から1712年ごろ、アムステルダムのRogerから出版されました。
トリオソナタはバロック室内楽の代表的編成だと言われますが、リコーダー2本と通奏低音のための曲となると、それほど多くは残っておらず、シックハルトの諸作品は貴重です。
このソナタ集に、とくに教則的な意図は謳われてはいませんが、比較的やさしい曲からしだいに技術を要する曲へと進むようにと配慮した様子がみられ、アマチュアのための出版作品に力を入れていたシックハルトならではの作品集となっています。
★解説★
4楽章から成っています。どの楽章も、わかりやすくて美しく楽しい、それでいて演奏はあまり難しくない、極上の曲です。ハ短調という調性が選ばれている関係で、初級者が「ミのフラット」をめぐる指づかいがたっぷり練習できるようになっています。
第1楽章はアダージョ(ゆっくりと)と指定されたアリア(「歌」の意味)で、4分の3拍子です。2本のリコーダーのかけあいのような箇所は少なく、ほぼ全編、美しい響きで唱和しながら音楽が進みます。
第2楽章は4分の4拍子のアルマンドです。なかなか快速感のある爽快な曲ですが、八分音符が中心で進みますので、かなり速いテンポを選んでも、演奏上の困難は大きくありません。この楽章も、かけあいのような箇所は最後に少しあるだけで、2本のリコーダーが歩調をそろえてハーモニーをつくりながら進む箇所が多くなっています。後半しだいに調子の良さが佳境に入り、わかりやすいクライマックスを築いたあと、クライマックス部分の(いくらかの変化をほどこした)エコーでしめくくっています。
第3楽章は4分の4拍子で「フーガ」と題されています。第1リコーダーによる主題の提示に対し第2リコーダーが同度で応答し、さらに低音が5度上の調(ト短調)で応答するという、フーガとしてはやや特異な開始。以後、何度かの「提示と応答」をさしはさみながら力強く音楽を進め、簡潔にまとめられています。
第4楽章は8分の6拍子のジーグです。付点音符を用いた跳ねるリズムを基調にしていて、テンポはそれほど速くない感じです。2部構成で、前半・後半ともに繰り返すよう指定されていますが、それでもとても短くて、非常に簡潔にまとめられたコンパクトな終曲になりました。
トリオソナタ イ短調 作品16-8
★解題★
J.C.シックハルトの「作品16」は、2本のアルトリコーダーと通奏低音のために書かれた12曲から成るトリオソナタ集で、1710年から1712年ごろ、アムステルダムのRogerから出版されました。
トリオソナタはバロック室内楽の代表的編成だと言われますが、リコーダー2本と通奏低音のための曲となると、それほど多くは残っておらず、シックハルトの諸作品は貴重です。
このソナタ集に、とくに教則的な意図は謳われてはいませんが、比較的やさしい曲からしだいに技術を要する曲へと進むようにと配慮した様子がみられ、アマチュアのための出版作品に力を入れていたシックハルトならではの作品集となっています。
★解説★
4楽章から成っています。プレリュードを置くことなく、いきなり舞曲を4つ並べたという体裁で、ソナタ作品の構成としては、いくらか珍しい部類だと言えるでしょう。どの楽章も手堅くまとめられた佳品ですが、とくに第4楽章ジーグには光るものがあります。
第1楽章はアルマンドと題され、4分4の拍子です。シックハルトのアルマンドは「アレグロ」(快活に)と指定されていることが多く、快速感をやや重視したような曲が多いのですが、この楽章はかなり落ち着いたテンポが合うのではないかと思います。
第2楽章はガボット、4分の4拍子です。歯切れ良く提示されるテーマから始まってキビキビと音楽が進みますが、短い舞曲にしてはなかなか劇的に構成された筋書きを持っていて、演奏しがいのある曲になっています。
第3楽章はメヌエットで、4分の3拍子です。4つの楽章のなかで、この楽章が最も「型どおり」のつくりになっていると言えるかも知れませんが、それだけに、典型的なメヌエットの演奏を安心して楽しめるでしょう。
第4楽章はジーグで、8分の6拍子です。付点の跳ねるリズムを含んでいることもあり、あまりとんでもなく速く演奏する曲ではないように思われます。シックハルトらしい生き生きとした音楽で、とくに、後半に入ってハ長調に転じると間もなくの、いわゆる「アーメン終止」の進行を用いたエピソードでは、何とも気持ちの良い新鮮な楽しさが味わえます。
トリオソナタハ短調作品16-7/トリオソナタイ短調作品16-8
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