ソナタ ヘ長調 (パルマ写本より)
★解題★
イタリア・バロックの「ナポリ楽派」を代表する作家のひとりドメニコ・ナターレ・サッロのリコーダー曲としては、パルマ写本に3曲とハラッハ写本に1曲、合計4曲の通奏低音つきソナタと、いわゆる「ナポリの協奏曲集」の写本のなかに、2曲の協奏曲が伝わっています。
本作はパルマ写本に収められた3曲のうちの1曲です。
★解説★
3楽章から成っています。よどみなく楽想がくり出される流麗さがみごとな佳品です
第1楽章はアダージョ(ゆっくりと)、4分の4拍子です。付点リズムに特徴のあるテーマから始まりますが、一転してなだらかな16分音符の音型で風景を変えたり、やがて32分音符の上行音型を味付けに出して、以下、素材をたくみに料理しながら、うまい語り口で音楽を進めていきます。大家の風格。
第2楽章はアレグロ(快活に)、4分の2拍子です。小気味よい感じのテーマで始まり、以下、いくつかの副主題も導入しながら、比較的自由に音楽を進めます。しかし、途中でテーマを短調に移したものが現れ、テーマが原調で回帰すると間もなく収束に入りますので、しっかりまとめられている印象です。
第3楽章はアンダンテ(歩くように)、4分の3拍子です。モーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」のメヌエットと同じように同音連打で始まりますが、この曲の音符たちはもっと速く、「こんなにせかせか歩くのは無理ではないか」というくらい速いテンポで鳴らしてほしそうに見えます。途中、3小節を合わせて9拍ぶんを1小節にまとめた(つまり4分の9拍子にした)箇所が出てくることも、テンポがかなり速めであることを裏付けているように思います。
■リコーダーによる演奏
第1楽章(C-1)
第2楽章(C-1)
第3楽章(B-3)
※カッコ内は指回り難度です。
※リコーダー演奏:石田誠司チェンバロ(電子楽器)演奏: 石田誠司
ソナタ ト短調 (パルマ写本より)
★解題★
イタリア・バロックの「ナポリ楽派」を代表する作家のひとりドメニコ・ナターレ・サッロのリコーダー曲としては、パルマ写本に3曲とハラッハ写本に1曲、合計4曲の通奏低音つきソナタと、いわゆる「ナポリの協奏曲集」の写本のなかに、2曲の協奏曲が伝わっています。
本作はパルマ写本に収められた3曲のうちの1曲です。
★解説★
5つの楽章から成っており、緩急緩急の4楽章に短いおまけ楽章がつくタイプの、「教会ソナタ型」のソナタです。どの楽章も充実した内容の力作です。
第1楽章はレント(ゆっくりと)、8分の3拍子です。大きな山を描くテーマで始まり、その素材を用いながら連綿と歌い継いでいきます。表現のキメの細かな、演奏しがいがあります。
第2楽章はアレグロ(快活に)、4分の2拍子です。同音の連打を含んでいるのが第1楽章のテーマとの共通点になっています。この楽章でもテーマはとてもよく展開されていて、引き締まった好個の快速楽章となりました。
第3楽章はアリオーソ(歌謡的に)、4分の4拍子で、全体が変ロ長調を基調として、柔らかに安らかな感じで始まりますが、途中はかなり短調に傾いています。
第4楽章は2分の2拍子で、アンダンテ(歩くように)と指定されていますが、後年のアンダンテとは違って、キビキビとした快速楽章です。力強いテーマ、そして同音連打も織り交ぜながら緊迫感のある音楽をくりひろげます。
第5楽章は4分の3拍子のメヌエットです。短くまとめられていて、先行する楽章に比べると小粒ですが、凝縮された緩みのない内容でしっかりと全曲をしめくくります。
■リコーダーによる演奏
第1楽章(B-2)
第2楽章(C-1)
第3楽章(B-2)
第4楽章(B-3)
第5楽章(B-2)
※カッコ内は指回り難度です。
※リコーダー演奏:石田誠司チェンバロ(電子楽器)演奏: 石田誠司
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