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ピアノの先生のためのフリーペーパー「レッスン・プラス・ワン(通称LPO)」の
220号が完成しました!
気になる楽譜、グッズがありましたら、ぜひ楽器店でチェックしてくださいね♪
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(店頭で配布しているものは黒と緑の2色刷りとなります)
[220号目次]
巻頭:たのしいピアノ①② ぜったいひける!はじめての音あそび(石田 薫 著/ドレミ楽譜出版社)
特集:2026年に弾きたい!メモリアルイヤーの作曲家たち
連載:レッスンのお悩み、一緒に考えます!聞いて!まるみえ先生(とても幼い生徒さんのレッスン)
巻末:新刊&おすすめ本コーナー

新しい商品を追加しました!
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100曲でわかる! K-POPヒストリー 1992-2020
イ・ジョンス、キム・ヨンデ、キム・ユナ、パク・ヒアほか計24人 著
廣岡孝弥 訳 Melon&ソウル新聞企画
アルテスパブリッシング 2,090円
ISBN:9784865593228
いやホント、K-POPの勢いってすごいですよね! 個々のアーティストの魅力はもちろんなんですが、何よりもパフォーマンススキルと発信力の高さに圧倒されます。これは世界中の人たちも魅了されちゃうよなぁ…。
そんなK-POPはどのように生まれ、どんな進化を遂げてきたのでしょう? さらに、「まずは何を聴けばいいの?」「どんなアーティストが時代をつくってきたの?」…など、K-POP初心者には知りたいことがいっぱいですが、今回、それらにまつわる疑問がまるっと解決できる、読んで・聴いて楽しめるガイドブックが登場しました!
1992年のK-POP誕生から、2020年リリースのBTS「Dynamite」に至るまでの厳選100曲を、韓国の音楽関係者24人がレビューとともに紹介。K-POPの歴史と魅力を一気に味わえちゃいます。
今回は、本書の日本版を手がけられた㈱アルテスパブリッシング代表取締役・鈴木茂様に、詳しいお話をお聞きしました!
―― 日本版を出版されたきっかけは?
BTSの魅力に目覚めてK-POPを聴き始めたのが5年前の夏。それまでにどんなグループやアーティストがいて、どんな曲がヒットしたのか、いつからこんなすごいことになったのかを知りたくて、韓国で良い本が出ていないかなと探しているうちに、ソウルのふたり出版社が2022年に刊行したこの本に出会い、これこそ読みたかった本だ!と翻訳権を取りました。
―― おぉ、鈴木様もK-POPに沼られたおひとりなのですね!この本の魅力はどんなところにありますか?
今のK-POPのスタート地点とされる90年代はじめのソテジワアイドゥルやH.O.T.に始まって、全米チャート1位を獲得したBTS〈ダイナマイト〉に至るまで、この30年弱の重要な曲が紹介されていること。そして、その100曲を韓国の大衆音楽関係者たちが投票で選びだしてレビューしていること、ですね。
K-POPはこの曲から始まった!ソテジワアイドゥル「僕は知っている」
―― その他、日本版には独自のコンテンツがあるそうですが?
はい、日本版には、選ばれた100曲のプレイリスト(Spotify、Apple Music)とミュージックビデオの再生リスト(YouTube)、用語・人名集を加えました。執筆者のひとりで日本のポップスにも詳しいキム・ユナさんに日本版のための序文も書いていただいています。
―― 100曲のプレイリスト、私のようなK-POP初心者にはめちゃめちゃありがたいです! 解説を読んで、曲も聴けて、映像も見られて、なんて贅沢なんでしょう。ブックデザインも、特に赤いカラーが韓国の魂を表しているようで素敵ですね。
ありがとうございます。韓国らしさをにじませながら、読者を選ばないポップでインパクトのあるデザインを目指したのですが、長年のK-POPリスナーでもあるデザイナーの杉山さんが見事に形にしてくださいました。
表紙はカバーを外すとまた違った印象に。同じデザインの「しおり」もついています♪

―― この記事を読んでいる人にメッセージをお願いします。
「韓流」という言葉が生まれたころから、ドラマや映画、小説、食べ物、コスメなど韓国のカルチャーに夢中になっている方は無数にいらっしゃると思いますが、K-POPの歴史をつくってきた代表曲を知ることができるこの本で、韓国の音楽と文化への理解をさらに深めていただけたら嬉しいです。
―― ありがとうございました!
本書のはじめの部分が試し読みできます!
100曲のプレイリストがK-POP初心者にはめっちゃ助かります…!
[著者]
カン・ソヨン:KBSラジオプロデューサー、『STATION Z』他演出、電子書籍プロジェクト『趣味家Vol.2』(共著)
クォン・ソクチョン:カカオエンターテインメント・プロデューサー、『本人登板』『アイドル登板』演出
キム・ドホン:ウェブジン『IZM』』元編集長、ニュースレター『ZENERATE』運営
キム・ヨンデ:『BTSを読む』『K-POPを読む』著者、「今ここのアイドル−アーティスト」執筆
キム・ユナ:TBS FM『ハム・チュンホのフォークソング』作家、「韓国大衆音楽ライナーノート」執筆
ナ・ウォニョン:ウェブジン『weiv』ライター
ランディ・ソ:ニュースレター『Bulletproof Delivery』発行者
ミミョ:ウェブジン『IDOLOGY』元編集長
パク・ジュヌ:フリーランス・コラムニスト、『歌うフェミニズム』著者
パク・ヒア:『IZEマガジン』元取材チーム長、K-POPアイドル専門記者、『アイドルのスタジオ』、『私たちのステージは続く』などK-POP産業インタビューシリーズ著者
ソン・ヒョソン:ウェブジン:『weiv』エディター
ソン・ハンソ:MBCラジオ・プロデューサー、『正午の希望曲』、『アイドルラジオ』、『夢見るラジオ』チーフプロデューサー
スクイブ:ウェブジン『IDOLOGY』編集委員、K-POPコラムニスト&DJ
イ・ギュタク:『葛藤するK-POP』、『K-POPの時代』著者
イ・ジョンス:『ソウル新聞』記者
チャン・ジュンファン:ウェブジン『IZM』編集長
チョン・クウォン:ウェブジン『weiv』編集長、音楽批評同人『HETEROPHONY』ライター
チョン・ミンジェ:Melon STATIONインディーズウェイ構成・進行、ウェブジン『IZM』元編集長
チョン・ビョンウク:『大衆音楽リーディングゲームK-POP 40』著者
チョ・ウンジェ:ウェブジン『IDOLOGY』ライター
チャ・ウジン:『青春のサウンド』著者、ニュースレター『TMI.FM』運営
チェ・ジソン:『韓国ポップスの考古学』(共著)、『女神は誉め言葉か?』著者
ハン・ドンユン:ストリート・ダンサー、ダンス講師として活動後、大衆音楽評論家となる。『ヒップホップはなぜヒップになったか?』著者
ファン・ソノプ:ウェブジン『IZM』元エディター、『あなたが知るべき日本の歌手』著者
[訳者]廣岡孝弥(ひろおか・たかや)
2021年、第5回「日本語で読みたい韓国の本 翻訳コンクール」にてファン・モガ『モーメント・アーケード』(クオン刊)で最優秀賞を受賞。韓国SFの翻訳にファン・モガ『生まれつきの時間』、パク・ヘウル『この星を離れた種族』(ともにinch magazine刊)、日韓のSF作家が12名ずつ参加したWeb連載『日韓SF交換日記』(Kaguya Planet)などがある。2024年には評論『「パラサイト 半地下の家族」を見る七つの視線』(クオン刊)を翻訳した。
★1月10日(土)下北沢B&Bで刊行記念トークショー開催!
K-POPはどこから来て、どこへ行くのか?|キム・ユナ×DJ DJ 機器×廣岡孝弥
■日時:2026年1月10日(土)19:00-21:00
■会場:下北沢・本屋B&B(東京都世田谷区代田2-36-15 BONUS TRACK 2F)
■出演:キム・ユナ・DJ DJ 機器・廣岡孝弥
入場料ほか、詳しい情報はこちらから
ゆく年くる年クラシック

2025年もいよいよカウントダウンとなりました。
今年は、皆様にとって、どのような一年となったでしょうか?
今年の出来事を振り返りつつ、来たる新たな年を迎えるこの時期ならではのクラシックコンサートをご紹介したいと思います。
連載『クラシックに詳しっく!』って?
普段の生活の中でクラシック音楽が流れているシーンは意外と多く、
ちょっと耳をすませば、驚くほど身近で親しみやすい音楽だったりします。
この連載では、そんな“日常でふと耳にするクラシック=暮らしック音楽”を、
季節やテーマに合わせて詳しく、楽しくご紹介していきます。
前回はこちら ▼
ゆく年:大晦日のカウントダウン・コンサート

クリスマスが終わり、年越しに向けてまっしぐらのこの時期、世界中でいろいろなイベントが行われています。
もちろん、クラシック音楽界も大盛況!
大晦日の夜に開催されるジルベスター(Silvester=聖ジルベスターの日=大晦日)コンサート、ニューイヤーズ・イブ・コンサートが世界各地で行われています。
特に有名なのが、ライプツィヒ・ゲヴァントハウスやウィーン交響楽団の『第九』、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のジルベスターコンサート、ウィーンやミュンヘンの歌劇場でのJ.シュトラウス二世作曲の『こうもり』上演などです。
さらに、ドレスデン、パリ、プラハなどでも、新年を迎える前に、いつもとは違う、華やかなコンサートが開催されています。
そして日本国内で、30年続いているのが、東急ジルベスターコンサートです。
その模様はTVでも放映されているので、ご覧になったことがある方も多いかと思います。
このコンサートの見どころは、何と言っても「カウントダウン演奏」!
新年を迎えるタイミングぴったりに曲を終わらせる――と言葉にすれば簡単ですが、演奏するのは機械ではなく人間です。時には、思いがけない失敗が起こることもありますよ…!
■オーケストラ・スコア

ポケットスコア エルガー:行進曲《威風堂々》第1番・第4番
(全音楽譜出版社)
■ピアノ独奏用

全音ピアノピース506 エルガー/威風堂々 第1番
(全音楽譜出版社)
今年は注目の女性指揮者、沖澤のどかさんを指揮に迎えて、今年生誕150年のラヴェル作曲『ボレロ』でのカウントダウンです。
東急ジルベスターコンサートは、テレビ東京他で12月31日の23:30~放送予定です。
東急ジルベスターコンサート放送予定
ボレロは同じメロディが延々と繰り返される名曲!
変幻自在のオーケストレーションを、スコアを追いながらご堪能ください。
■オーケストラスコア

ポケットスコア ラヴェル:ボレロ
(全音楽譜出版社)
また、福岡ジルベスターコンサートも10年以上続いており、こちらでもでもカウントダウン演奏が行われています。
■オーケストラスコア

シベリウス 交響詩 フィンランディア/作品26
(全音楽譜出版社)
■混声合唱

混声合唱とピアノのための シベリウス フィンランディア
(音楽之友社)
その他、ベートーヴェン交響曲全曲演奏会や、オペラ歌手を交えてのガラ・コンサートなど、男性アイドルグループ以外にも、大晦日はさまざまなコンサートが催されています。
ちょっと足をのばして、非日常の空間へ出かけてみてはいかがでしょうか?
くる年:ニューイヤーコンサート

年が明けると、ニューイヤーコンサートが世界各地で開催され、新たな年の門出を祝います。
その演奏会で必ずと言っていいほど演奏されるのがワルツやポルカ。
『こうもり』の作曲家J.シュトラウス2世をはじめとするシュトラウス一家や、その同時代の作曲家によるワルツやポルカは、聴く人の気持ちをウキウキワクワクさせてくれます。
そんなワルツやポルカ演奏の本家本元と言えば、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団!
そう、世界で最も有名な新春コンサートと言えば、現在、全世界150か国以上に中継されている、ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートです!
ニューイヤーコンサートの始まりは、オーストリアがナチス・ドイツに併合されていた1939年12月31日に開催された、シュトラウス一家の特別演奏会に遡ります。
その後、1941年の第2回からは1月1日の正午に毎年開催されるようになりました。
初代指揮者クレメンス・クラウスが1954年に亡くなると、ウィーン・フィルのコンサートマスターであったウィリー・ボスコフスキーが後を継ぎ、1955年から1979年までの間、ニューイヤーコンサートの指揮者を務めました。
彼はヨハン・シュトラウス2世に倣って、ヴァイオリンを弾きながら、時折弓を振る「弾き振り」というやり方で、ワルツやポルカなどを指揮しました。
彼の存在によって、今に続くニューイヤーコンサートの人気が作られたと言っても過言ではないように思えます。
ハンガリーの民族音楽「チャールダーシュ」をモチーフにした、J.シュトラウス2世作曲『騎士パズマンのチャールダーシュ』では、弾き振りをするボスコフスキーの貴重な姿を見ることができます。
ボスコフスキーが引退してからは、ウィーン国立歌劇場総監督にもなった、ロリン・マゼールが7年間指揮を務め、その後は様々な指揮者が招聘されるようになりました。
長年ニューイヤーコンサートを共にした、マゼールとウィーン・フィルの息の合った共演でポルカ『騎手』をどうぞ♪
現在までで唯一、ソリストが登場したニューイヤーコンサートが、1987年のヘルベルト・フォン・カラヤン指揮による公演です。
この年は、キャサリン・バトルが軽やかに『春の声』を歌いました。
日本人指揮者では、2002年に小澤征爾さんがニューイヤーコンサートに登壇をしています。
アンコールの『美しく青きドナウ』演奏前には、恒例となっている新年の挨拶が行われ、さまざまな言葉で「新年おめでとう」が披露されました。
コンサートの最後を飾る『ラデッキー行進曲』では、お客さんが拍手で参加するのも恒例で、指揮者のパフォーマンスも楽しみのひとつです。
■ウィンナワルツを美しい女声三部合唱で

女声三部合唱 ヨハン・シュトラウス/春の声
(ドレミ楽譜出版社)
■ J.シュトラウス2世の主要なワルツやポルカを、ピアノソロで

全音ピアノライブラリー ヨハン・シュトラウス ワルツ・ポルカ集
(全音楽譜出版社)
■シュトラウス一家の作品の連弾楽譜

全音ピアノライブラリー シュトラウス ピアノ連弾曲集1
(全音楽譜出版社)

全音ピアノライブラリー シュトラウス ピアノ連弾曲集2
(全音楽譜出版社)
来年2026年は、カナダ人のヤニック・ネゼ=セガンがニューイヤーコンサート初登場します。
毎年、いろんな趣向がこらされているだけに、来年のコンサートも楽しみですね。
ニューイヤーコンサートは、NHKにて1月1日19:00から、衛星放送が予定されています。
実はこんな裏話が…
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団でも毎年ジルベスターコンサートが開催されています。
そのプログラムは翌日のニューイヤーコンサートと全く同じ!
というのも、ニューイヤーコンサートのゲネプロ(最終練習)をジルベスターコンサートとして公開しているんです。
一日早くニューイヤーコンサートを楽しめるなんて、ちょっとお得な公演ですね♪
その他「NHKニューイヤーオペラコンサート」が、1月3日(土)19:00~放送予定となっており、こちらでは錚々たる日本人歌手の歌声が堪能できることと思います。
それでは皆様、良い“酔い”の宵をお過ごしいただき、素敵な2026年をお迎えください。


●この記事を書いた人
もり
魚と麺類がおいしい福岡に生まれ、高校卒業後に渡欧。1年のドイツ語研修を経て、ウィーンにてピアノ、古楽奏法、音楽学、楽器法、指揮法などを学ぶ。帰国後、大学にて音楽学を専攻、同時に棒振り人生をスタート。指揮、トレーナー、講座、編曲等でクラシック系を中心に音楽と携わり、早〇十年。ニュースはスマホで読みますが、楽譜と書籍は紙印刷を今でもこよなく重宝しています。

年末が近づくと、自然と耳に入ってくるベートーヴェンの「第九」。
日本ではすっかり冬の風物詩となったこの名曲を、今回は対談形式で、少し深く、身近にひもといていきます。
連載『クラシックに詳しっく!』って?
普段の生活の中でクラシック音楽が流れているシーンは意外と多く、
ちょっと耳をすませば、驚くほど身近で親しみやすい音楽だったりします。
この連載では、そんな“日常でふと耳にするクラシック=暮らしック音楽”を、
季節やテーマに合わせて詳しく、楽しくご紹介していきます。
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第4楽章:やっぱり第九!
日本の年末を彩る音楽として広く親しまれ、この時期特に演奏頻度が高いクラシック作品と言えば、ベートーヴェン作曲交響曲第9番ニ短調作品125、通称「第九」です。
ベートーヴェンにとって最後に完成したこの交響曲は、今から201年前の1824年に完成し、同年5月7日にウィーンのケルントナー門劇場で初演され、大成功を収めたそうです。
しかし、その後は「第九」にとって不遇な時期が続きました。
再評価されたのは20年後、ベートーヴェンを敬愛していたワーグナーによる蘇演がきっかけだったと言われています。ちなみに、ワーグナー上演の総本山であるバイロイト祝祭歌劇場で、ワーグナー作品以外に唯一演奏される作品が、この「第九」です。
さて、今回はこの曲に人一倍熱い情熱を持つ方を、特別ゲストとしてお招きしました!
お招きありがとう。
わしが武江藤(ぶえとう)じゃ

武江藤 弁(ぶえとう べん)
大阪泉州生まれ、クラシック音楽の歴史や鑑賞にハマっている語り好きの熱男。
アコースティックギターを爪弾き、歌い出したら止まらない一面もある。敬愛する作曲家は筒美京平とベートーヴェン。
ようこそ、「クラシックに詳しっく」へ!
今回はベートーヴェンの「第九」についてお話をして頂きたいと思います。
この偉大な曲について語ると、わしゃ止まらんぞぅ~
第1楽章の混沌とした開始からの闘争!
ティンパニが乱舞する第2楽章!
一転して平安の祈りが紡がれる第3楽章!
そしてそれまでの50分を否定するかのように始まる第4楽章!!
低弦から静かに始まり高らかに奏でられる歓喜の旋律!!
交響曲に声楽を加えるという画期的なアイデアは、残念ながらベートーヴェンの専売特許ではないようだが、バリトンに導かれて合唱が声高らかに歓喜の旋律を歌い上げる瞬間は、まさに鳥肌物じゃ!!!!
武江藤さんの「第九」に寄せる熱さが伝わりました!
ひとまず落ち着いて、お水を飲んでくださいっ
う、うむ!最初から飛ばしてしまってすまない!
しかし「第九」と言えば、合唱が加わる第4楽章のみがクローズアップされておるが、第1楽章から聴いてこそ、その真価がわかる大作!出来れば全曲を聴いてほしいものじゃ!
♫早速、実際に聴いてみましょう
■鑑賞のおともに

ポケットスコア ベートーヴェン 交響曲第9番ニ短調 作品125/合唱譜付
(全音楽譜出版社)

OGT-2109 ベートーヴェン交響曲第9番 二短調 作品125(合唱付)
(音楽之友社)
全曲で70分かかる大曲ですが、第1楽章からテンション高く元気になれる曲ですし、ベートーヴェンの魅力が凝縮された作品ですね。
ところで、日本での初演はいつ頃だったのでしょうか?
今から100年以上前の大正7年に、第1次世界大戦のドイツ人捕虜たちが、徳島県の板東俘虜収容所で全楽章の演奏をした記録が残っておる。
これを記念した「鳴門市ドイツ館」が徳島県の鳴門市にあるんじゃが、この収容所を舞台にした『バルトの楽園』という映画も製作されておるぞ!
鳴門市ドイツ館|徳島県鳴門市『第九が日本で初めて演奏された地』
ま、しかしこの演奏は非公開で、合唱も男声のみだったからな。
演奏会として完全な初演が行われたのは、東京藝術大学の前身である東京音楽学校の先生や学生と、ドイツ人指揮者グスタフ・クローンとによる演奏だったと言われておる。
奇しくも、ウィーンでの初演からちょうど100年が経った大正13年のことじゃわ。
日本人が「第九」と出会って、100年以上が経ってるんですね!
そうじゃ。
当時、ベートーヴェンの交響曲第5番『運命』などもドイツ人捕虜によって日本初演されておるから、ベートーヴェンと日本人の付き合いは100年以上になるな。
今や冬の風物詩となり、季語にもなっている「第九」。特にこの時期に多く演奏されていますよね
年末の「第九」恒例となったきっかけは諸説あるようじゃの。
わしが思うに、1938年12月のクリスマスに、ジョゼフ・ローゼンストックの指揮する新交響楽団(のちの日本交響楽団、現在のNHK交響楽団)が「第九」を演奏し、その2年後の1940年大晦日の夜に、同じコンビによる「第九」の演奏が、ラジオで全国に生放送されたことが発端になるんじゃないかのぉ~
テレビ放送がなかった当時、娯楽の王様だったラジオから流れる「第九」は、強烈な印象を与えたことじゃろな!
ローゼンストックは、ポーランド出身で、来日前からベルリンで活動していた指揮者ですよね?
よく知っておるな!
ライプツィヒでは1918年から毎年、年末の「第九」演奏会が行われておって、その習慣がベルリンにも伝わった。
それにならって、ローゼンストックが日本でも年末に「第九」を演奏したいと提案したようじゃ。
もともとの原型はベートーヴェンのお膝元だったんですね!
今でも、ライプツィヒやウィーンでは大晦日に「第九」演奏会が毎年開かれているそうですしね。
やはりドイツ人にとって、ベートーヴェンは特別な存在じゃからな。
特に「第九」は記念碑的で祝祭的な作品じゃ。その時代、その国にとって大きな意味を持つ節目ごとに、演奏されてきた曲なんじゃよ。
たとえば、空襲で焼失したウィーン国立歌劇場を再建した1955年11月の記念演奏会。
1989年12月のチェコスロバキアのビロード革命を祝福するプラハでの演奏会。
さらに、バーンスタイン指揮によるベルリンの壁崩壊を祝したベルリンでの演奏会や、1990年10月2日の東西ドイツ再統一記念式典など――
まさにモニュメンタルな機会に演奏されてきておるのぉ
日本でも、1998年2月の長野オリンピック開会式(小澤征爾指揮)や、2011年4月の東日本大震災被災者支援チャリティ演奏会(メータ指揮/NHK交響楽団)。
そして今年の大阪万博開幕式(佐渡裕指揮)でも演奏されていましたね!
♫実際に聴いてみましょう
そうじゃ。
日本では、戦後の1947年12月に、日本交響楽団(現在のNHK交響楽団)が、3日連続の「第九コンサート」を行ってから、年末に「第九」を演奏する習慣が定着していったと言われておる。
現在では、毎年150公演程度の「第九」が12月に開催されているようじゃよ。
そして、聴く側から歌う参加型へと変わっていったことも、日本での「第九」人気に拍車がかかった理由ですね。
第九演奏が盛んになった時期と重なるように始まった「うたごえ運動」を背景に、合唱が盛んになったからな。
毎年12月の第1日曜日に大阪城ホールで開催される「サントリー1万人の第九」や、毎年2月に両国国技館で開催される「国技館5000人の第九コンサート」などは、日本独特の音楽体験といっても過言ではなかろうのぉ。
■「第九」の合唱譜はこちら
各社から様々なものが出ています。
発音ルビの有無やオーケストラ部分の記譜、ページのめくり等々、現物を手にされご検討ください。

ベートーヴェン 歓喜の歌(フリガナ付ゴールド版)新訂版
(ハンナ)

新しい『第九』合唱譜 見やすい・わかりやすい オーケストラ譜付き
(スタイルノート)
「第九」の4楽章、「歓喜」のメロディは、1972年の欧州評議会によってヨーロッパ全体を象徴する「欧州の賛歌(アンセム)」として宣言されてますね。
さらに1985年には、ミラノで開かれた欧州理事会(EU首脳会議)において「欧州の賛歌」を共同体の歌とすることが採択されました。
そこで一役買ったのが、あの大指揮者ヘルベルト・フォン・カラヤンじゃ!
彼は「歓喜」のメロディを、ピアノ独奏版、吹奏楽版、オーケストラ版に編曲するよう依頼され、公式録音の演奏も指揮しておる。
カラヤンはクラシック音楽ファン以外にも知られている、1950年代半ばから40年近くにわたりヨーロッパ・クラシック界の帝王として存在していた名指揮者ですね。
没後40年近くなりますが、その録音、録画は燦然と輝きを放っていますね!
♫実際に聴いてみましょう
そのカラヤンが、自分の手兵であるベルリン・フィルハーモニー管弦楽団との本拠地として竣工したベルリン・フィルハーモニー落成記念演奏会で取り上げたのもベートーヴェンの「第九」でしたね!
1980年初頭のCDの開発期、CDのサイズ(収録時間)を決める際に意見を求められたカラヤンが、「第九が入るサイズにしたい」と言ったことが決定打となり、現在の12cmサイズが決まったとも言われておるな。
カラヤンの遺産と「第九」の融合が、今もヨーロッパはじめ世界の基準になっているとは驚きです!
「歓喜」の旋律は『天には御使い』として、讃美歌でも歌われておるぞ。
この讃美歌は、キリストの復活を喜ぶ春のイースターで歌われる歌詞がつけられておるんじゃ。
映画『天使にラブソングを2』でも、ゴスペル調でにぎやかに歌い踊られていますね♪
どんなアレンジをしても、あのシンプルで誰でも歌える旋律は不滅じゃな!
順次進行で音の跳躍が少なく、覚えやすいメロディですからね。
あの旋律の凄さは、ピアノだけの演奏でも伝わってくるぞ!
例えば、ベートーヴェンを敬愛していたリストが、彼の全交響曲をピアノ用に編曲しておるが、この演奏で聴くと、改めて「歓喜」の旋律の普遍的な力が伝わってくるように感じるのぉ~
■楽譜はこちら

リスト編曲 ベートーヴェン交響曲全集2
(春秋社)
「歓喜」の旋律は聴くのも歌うのもテンションが揚がりますが、他の合唱部分は、音程の跳躍も多く大変ですね
簡単ではないが、恐れるに足らずじゃ。
ガイドブックなんかも出ておるし、そこから第九に入るのも面白いかもしれんな!
■書籍はこちら

《第九》虎の巻 歌う人・弾く人・聴く人のためのガイドブック
(音楽之友社)
やはり歌い甲斐がある作品ですよね。
そらそうじゃ!
よいか!?あれを歌う時にはな…
すみません武江藤さん!
まだまだお話したいのですが、そろそろお時間が…
お、おっと、もうそんな時間か…
またグリューワインでも飲みながらゆっくり話そう。
そうですね、今日はありがとうございました!またのお越しをお待ちしております!
この時期、百貨店やコンビニなどをはじめとして、クリスマス音楽で店内を盛り上げ、音楽のデコレーションで人々を迎えます。音楽がその場の雰囲気を作り、何気なく聞こえてくる音楽で心が浮き立ったり、癒されたりする事も少なくありません。
耳なじみのクリスマスの音楽も、今までより少しだけ耳を傾け、興味をもっていただければ、今まで気付かなかった素敵な出会いが待っているかもしれません。
そして少しだけ足を進めて、ネットで検索してみたり、楽譜を開いてみたりしてはいかがでしょうか?
楽譜は音楽にとってレシピのようなものです。
同じレシピでも料理を作る人によって味が異なるように、同じ楽譜でも、演奏者によって聴こえてくる音楽は異なります。
レシピを知れば料理に興味が持てるように、楽譜を見れば、その曲の隠し味が聞こえてくるかもしれません。楽器を弾くのが苦手な方も、楽譜に馴染みがない方も、簡単な楽譜の読み方をマスターし、素敵な出会いや楽しい発見を楽しんで頂ければと思います。
それでは、音楽に彩られた素敵なクリスマスをお過ごしください。


●この記事を書いた人
もり
魚と麺類がおいしい福岡に生まれ、高校卒業後に渡欧。1年のドイツ語研修を経て、ウィーンにてピアノ、古楽奏法、音楽学、楽器法、指揮法などを学ぶ。帰国後、大学にて音楽学を専攻、同時に棒振り人生をスタート。指揮、トレーナー、講座、編曲等でクラシック系を中心に音楽と携わり、早〇十年。ニュースはスマホで読みますが、楽譜と書籍は紙印刷を今でもこよなく重宝しています。

讃美歌は、もともと宗教音楽として生まれましたが、いまではその枠を超えて、世界中で親しまれる存在になっています。今回は、そんな“すべてを超えて広がった”讃美歌の魅力をのぞいてみましょう。
連載『クラシックに詳しっく!』って?
普段の生活の中でクラシック音楽が流れているシーンは意外と多く、
ちょっと耳をすませば、驚くほど身近で親しみやすい音楽だったりします。
この連載では、そんな“日常でふと耳にするクラシック=暮らしック音楽”を、
季節やテーマに合わせて詳しく、楽しくご紹介していきます。
前回はこちら ▼
第3楽章:すべてを超えた讃美歌
この時期、街角で流れる音楽で欠かせないのが讃美歌。
讃美歌とは、季節を問わず教会の礼拝で歌われる、神をたたえる聖歌を指します。

厳密にいうとカトリックとプロテスタントでは呼び方が異なり、その他の宗派でも様々な呼称があります。稲垣潤一の歌詞にも出て来る「クリスマス・キャロル」や、アメリカでブルースと融合した「ゴスペル」なども讃美歌に含まれます。
ここでは、広い意味での「讃美歌」という呼び方でお話を進めたいと思います。
世界中で愛されているこの曲が作られた背景には、“偶然” ともいえるきっかけがありました。
オーストリア・ザルツブルグ近郊の街、オーベルンドルフにある聖ニコラウス教会で働いていたヨゼフ・モールは、1818年のクリスマス・イブの前日、教会のオルガンが壊れていることに気付きました。
音の鳴らないオルガンでは讃美歌の伴奏が出来ません。
困った彼は、ナポレオン戦争後の貧困に苦しむ村人たちを癒すため、1816年頃に書いた詩「Stille Nacht」(静かな夜)」に、ギター伴奏で歌えるメロディを書いてくれるよう、友人であり教会オルガニストや音楽教師を務めていたフランツ・グザヴァー・グルーバーに作曲を依頼しました。
グルーバーは一晩で曲を書き上げ、1818年12月24日のイブのミサでお披露目されました。その後、壊れたオルガンを修理に来たチロル出身の職人が、この曲を故郷に持ち帰り、そこの合唱団がレパートリーに加え演奏旅行を行ったことが、世界中で歌われるきっかけとなりました。
「き~よし~こ~のよる~」で始まる日本語詞は、牧師で讃美歌作家の由木康によって書かれ、1909年に出版された讃美歌集に収録されました。その後、音楽の教科書に掲載されるようになり、日本で最もポピュラーな讃美歌となりました。
20年近く続いた小田和正さんの番組『クリスマスの約束』でも毎年歌われていましたが、そんな説明がいらないほど、この時期に欠かせない名曲になっていますね!
♫ 実際に聴いてみましょう
「クラシックに詳しっく」第1番にも登場した、フランスの作曲家 アドルフ・アダンによって1847年に書かれました。
日本でも『さやかに星はきらめき』として歌われている讃美歌です。
♫実際に聴いてみましょう
もともとの歌詞は上の動画のフランス語で、原題は『Cantique de Noël(クリスマスの賛美歌)』ですが、19世紀の聖職者ジョン・サリバン・ドワイトが英訳した歌詞で世界中に広まり、多くのポップシンガーにも歌われています。
♫マライア・キャリーが歌うオーホーリーナイト
こちらの曲、讃美歌集には『メサイア』の作曲者であるヘンデルの名前が記載されているものもあるようです。
しかし実際には、アメリカの宗教音楽家で「米国讃美歌の父」とも呼ばれるローウェル・メイスンが、ヘンデルの『メサイア』のいくつかの旋律を基に、1836年に編曲したものとされています。
♫実際に聴いてみましょう
「もろびとこぞりて」の元ネタ(?)とされる曲もご紹介!
次も元ネタ(?)とされる曲。冒頭から「おっ!?」となります!
こちらもこの時期を華やかに彩る1曲です。
♫実際に聴いてみましょう
この曲のメロディは、『結婚行進曲』や『無言歌集』で有名な、ドイツの作曲家フェリックス・メンデルスゾーン の作品に由来しています。
1840年、メンデルスゾーンは、印刷術発明400年記念祝典のために、男声合唱と管弦楽のためのカンタータ『祝典歌』(別名『グーテンベルク・カンタータ』)を作曲しました。その第2曲「祖国よ、お前の場所で」のメロディを引用したのが、この曲です。
さらに、メンデルスゾーンが指揮していた合唱団の一員だったイギリスの音楽家ウィリアム・H・カミングズが、このメロディ(動画1:58~)に、プロテスタントの指導者チャールズ・ウェスレーの歌詞を合わせて歌うことを考案しました。
この曲は、1861年に出版された讃美歌集に収録され、広く普及していきました。
このように、讃美歌にはクラシック音楽にまつわる曲が多くあり、民謡や伝承歌、旋律の借用等がなされた曲も多く含まれています。
そして、讃美歌を集めた讃美歌集も複数ありますので、同じ曲でも番号が異なったり、同じメロディを違う歌詞で歌ったり、ということも少なくないようです。
民謡の旋律による、代表的なクリスマス・キャロル
ヤマザキのクリスマスケーキのCMでも流れているこの曲、元ネタはイングランド西部に400年以上前から伝わっていたメロディだそうです。
「Noel」とは、キリストの生誕=クリスマスという意味で、羊飼いのもとに天使が現れキリストの生誕を告げ、三人の博士が生まれたばかりのキリストのもとを訪ねるという、J.S.バッハの『クリスマス・オラトリオ』の内容をぎゅっと凝縮した歌詞が歌われています。
『クリスマス・オラトリオ』については、「クリスマスを迎える前に」第1楽章をご覧ください。
♫実際に聴いてみましょう
こちらも、ヤマザキのクリスマスケーキのCMで流れていた曲で、18世紀頃にはフランスで歌われていたメロディです。ラテン語のGloria in excelsis Deo(天におられる神に誉れあれ)が印象的です。
カトリックでは『天の御使いの』、プロテスタントでは『荒野の果てに』という日本語の歌詞で歌われています。
♫実際に聴いてみましょう
「クリスマスを迎える前に」第2楽章で取り上げたシベリウスの作品と同名のこの曲は、400年以上前から伝わるドイツ民謡に、ポツダムの孤児院長アウグスト・ツァルナックが1820年頃に作詞した恋の歌が基になっています。
雪の降る冬でも青々としているもみの木の変わらぬ姿は、どんな時にも勇気と力を与えてくれると歌っており、シベリウスの作品と重なる情景が思い浮かびます。
♫実際に聴いてみましょう
明石家サンタのベルの音とともに響く「おめでとうクリスマス」、こちらはイングランドに16世紀から伝わる旋律です。
もともとは、家々を訪れてクリスマスの喜びを伝え、お菓子を求めるキャロラーたちによって歌われていたそうで、クリスマス・キャロルとしては珍しく、新年のご挨拶付きです
♫実際に聴いてみましょう
讃美歌でも、クリスマス・ソングでもないんかい!?…な曲
『きよしこの夜』と並んで、この時期の定番曲といえば『ジングル・ベル』。
1857年、アメリカのボストンで牧師のジェームズ・ピアポイントによって作詞作曲されたこの曲は、「One Horse Open Sleigh(一頭立ての屋根なしソリ)」というタイトルで当初は発表されました。
元の歌詞は、雪の中を一頭立ての馬ゾリで駆け抜ける若者の様子や気持ちを描いたもの。女の子を誘ってソリを走らせるものの、雪の吹き溜まりに突っ込んでひっくり返ってしまい、通りかかった紳士が大笑いして去っていった―― という、雪の日の楽しい情景を歌っています。
ちなみに、ジングル・ベルとは、馬や馬車に付けられた鈴のことで、雨や吹雪で視界が悪いときに、周囲に自分の位置を知らせるためのものでした。
鈴の音がクリスマス気分を盛り上げてくれる1曲ですが、実はこの曲、讃美歌でもクリスマス・ソングとして作られたものでもなく、ルロイ・アンダーソンやモーツァルトの『そりすべり』と同じような、そり遊びの情景を描いた曲だったんですね。
♫実際に聴いてみましょう
現在では、教会という場所を超え、キリスト教という宗派を超え、クラシックや民謡というジャンルを超え、讃美歌はこの時期を明るく華やかにしてくれます。
ピアノ・ソロはもちろん、合唱や器楽でのアンサンブル他、いろんなアレンジによるクリスマス・ソングの楽譜がありますので、ぜひ、この機会に手に取ってご覧いただき、聞き慣れた曲の新たな魅力に出会って頂ければと思います。
■ ピアノソロの楽譜はこちら

美しく響くピアノソロ 上級 クリスマス名曲集
(ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス)

贅沢アレンジで魅せるステージレパートリー集 【初・中級】王様のピアノ クリスマス 第2版
(全音楽譜出版社)
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女声合唱 おしゃれに楽しむ クリスマス・コーラス 第5版
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(ドリーム・ミュージック・ファクトリー)
さて、クリスマス音楽特集の最後を飾る第4楽章には、満を持して「アレ」が、そして特別ゲスト!?が登場します
次回もお楽しみに!

●この記事を書いた人
もり
魚と麺類がおいしい福岡に生まれ、高校卒業後に渡欧。1年のドイツ語研修を経て、ウィーンにてピアノ、古楽奏法、音楽学、楽器法、指揮法などを学ぶ。帰国後、大学にて音楽学を専攻、同時に棒振り人生をスタート。指揮、トレーナー、講座、編曲等でクラシック系を中心に音楽と携わり、早〇十年。ニュースはスマホで読みますが、楽譜と書籍は紙印刷を今でもこよなく重宝しています。

クリスマスが近づくと、劇場やホールでは子どもたちの笑い声が響き、街には心躍るメロディがあふれます。今週は、そんな冬の日を彩る「キラキラサウンド」の世界へご案内します。
『クラシックに詳しっく!』って?
普段の生活の中でクラシック音楽が流れているシーンは意外と多く、
ちょっと耳をすませば、驚くほど身近で親しみやすい音楽だったりします。
この連載では、そんな“日常でふと耳にするクラシック=暮らしック音楽”を、
季節やテーマに合わせて楽しくご紹介していきます。
前回はこちら ▼
第2楽章:雪の日のキラキラサウンド
この時期、お子さん向けに上演されるのが、チャイコフスキー作曲のバレエ『くるみ割り人形』。
クリスマス・イブの日のお話しで、おじいちゃんからくるみ割り人形をプレゼントされた少女が、人形を助けネズミと戦い、呪いが解けた王子と結婚するという楽しいファンタジーが、華やかで心浮きたつような音楽で紡がれています。
全曲通しで100分程度の作品ですが、チャイコフスキー自身が20分程度にまとめた、美しいメロディてんこ盛りの組曲は演奏頻度も多く、耳にされたことがあるかと思います。
当時開発されたばかりの楽器、チェレスタをいち早く取り入れた「金平糖の踊り」
速いテンポで踊られるウクライナ地方の踊り「トレパーク」
ソフトバンクのCMでもお馴染みの「葦笛の踊り」
美しいハープの前奏から始まる「花のワルツ」
■ 楽譜はこちら

ピアノ連弾 チャイコフスキー 組曲 くるみ割り人形 Op.71a
(ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス)
■ 楽譜はこちら

ポケットスコア チャイコフスキー:組曲《くるみ割り人形》作品71a
(全音楽譜出版社)
チャイコフスキーには、ひと月ごとのロシアの情景を詠んだ詩に作曲した、全12曲のピアノ曲集『四季』もあり、中でも11月の『トロイカ』はよく弾かれる作品です。
「トロイカ」とは、ロシアの3頭立ての馬ソリのことで、郵便馬車などとしてロシアでは日常的に活躍していました。その情景が思い浮かぶような、リズミックな作品です。
■ 楽譜はこちら

全音ピアノライブラリー チャイコフスキー 四季
(全音楽譜出版社)
ソリつながりで登場するのは、アメリカの作曲家、ルロイ・アンダーソンの『そり滑り』。
ルロイ・アンダーソンは20世紀に活躍した、アメリカ・ポップスクラシックの巨匠で、軽妙洒脱、遊び心に溢れた小品を数多く残しています。
運動会のBGMとして定番の「トランペット吹きの休日」
弦楽の速弾きが見事な「フィドル・ファドル」
イオングループのお掃除時間のBGMでも使われている「シンコペイテッド・クロック」
■ 楽譜はこちら

ピアノで弾くクラシック・アーティスト ルロイ・アンダーソン/ジョージ・ガーシュウィン/ジョン・フィリップ・スーザ
(ケイ・エム・ピー)
モーツァルトも、アンダーソンと同名の『そりすべり』を書いています。
こちらは、『3つのドイツ舞曲K.605』の3曲目として収められており、鈴とポストホルンが賑やかに奏でられます。
■ 楽譜はこちら

ヤマハピアノライブラリー ピアノ連弾曲集2 CD付
(ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス)
オリジナルはオーケストラ版ですが、こちらの楽譜はピアノ連弾版です。
北欧フィンランドの作曲家シベリウスの『もみの木』も、この時期にぴったりのピアノ小品です。
この曲は、松や白樺など、フィンランドを象徴する樹木をテーマに書いた作品をまとめた『5つの小品(樹の組曲)』作品75の5曲目にあたります。
木々を題材に、自然への畏敬とフィンランド人の心の情景を描いた曲集で、シベリウス48歳のころに書かれました。 風雪に耐え立つ樹の力強さや美しさを感じられる作品です。
■ 楽譜はこちら

シベリウス・ピアノ名曲集
(ドレミ楽譜出版社)
『5つの小品』の他、作曲者自身のピアノソロ編曲版による『フィンランディア』や『悲しきワルツ』他が収録された、シベリウスを知るのにおススメの1冊

シベリウス ピアノアルバム
(全音楽譜出版社)
日本シベリウス協会の最高顧問を務めるピアニスト館野泉さんによる編集で、詳細な解説も読みごたえ充分です
ピアノで奏でるクリスマス曲、最後は「ピアノの魔術師」の異名を持つ、フランツ・リストの『クリスマス・ツリー』です。
リストの作品と言えば超絶技巧なイメージですが、これはリストが孫娘のために書いた弾きやすい作品集で、古い民謡や教会の聖歌などが引用されています。
3曲目の『飼い葉桶のそばの羊飼いたち』、4曲目の『誠実な人々よ、来たれ』では、どこかで聞いたことのあるクリスマス・キャロルが聞こえてきます。
3曲目『飼い葉桶のそばの羊飼いたち』
4曲目の『誠実な人々よ、来たれ 』(神の御子は今宵しも)
■ 楽譜はこちら

リスト クリスマス・ツリー
(ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス)
さて、クリスマスを迎える12月の「クラシックに詳しっく」。
次回はこの時期に欠かせない、讃美歌の数々をご紹介したいと思います。どうぞお楽しみに!

●この記事を書いた人
もり
魚と麺類がおいしい福岡に生まれ、高校卒業後に渡欧。1年のドイツ語研修を経て、ウィーンにてピアノ、古楽奏法、音楽学、楽器法、指揮法などを学ぶ。帰国後、大学にて音楽学を専攻、同時に棒振り人生をスタート。指揮、トレーナー、講座、編曲等でクラシック系を中心に音楽と携わり、早〇十年。ニュースはスマホで読みますが、楽譜と書籍は紙印刷を今でもこよなく重宝しています。
昭和100年の2025年、関西では万博や阪神タイガースの優勝で盛り上がった一年も、早いもので残すところわずかとなりました。
あちらこちらでイルミネーションが煌めき、心浮き立つこの季節、街角でも様々なクラシック音楽が流れています。
今回はこの季節を彩る素敵な音楽をご紹介していきたいと思います。
『クラシックに詳しっく!』って?
普段の生活の中でクラシック音楽が流れているシーンは意外と多く、
ちょっと耳をすませば、驚くほど身近で親しみやすい音楽だったりします。
この連載では、そんな“日常でふと耳にするクラシック=暮らしック音楽”を、
季節やテーマに合わせて楽しくご紹介していきます。
前回はこちら ▼
第1楽章:クリスマスを祝う宗教曲

クリスマスは、「キリストのミサ」という意味であり、言わずと知れたイエス・キリストの降誕を祝う日です。
11月30日に最も近い日曜日から約4週間、キリストの降誕を待ち望む待降節(たいこうせつ)を過ごし、その間にさまざまな行事やミサが行われ、クリスマス当日を迎えます。
まず初めに、キリスト教文化圏のお祝いで奏でられる音楽をご紹介したいと思います。
宗教的なイベントを飾る音楽として、ミサ曲などの宗教曲がありますが、この時期の定番といえば、ヘンデルの『メサイア』(日本語で救世主の意味)とJ.S.バッハの『クリスマス・オラトリオ』が挙げられます。
ヘンデルとバッハは、同じ1685年に、ハレとアイゼナハという、距離にして150kmほど、東京~軽井沢ぐらいしか離れていないドイツの街で生まれました。
ヘンデルとバッハは同じ1685年にドイツで生まれましたが、その生涯は対照的でした。
ヘンデルはイタリアに留学し、ドイツ・ハノーファーで宮廷楽長を務めた後、ロンドンへ渡ります。そこでオペラ作曲家・興行主として成功し、最終的にはイギリスに帰化した国際派の作曲家でした。
一方のバッハは、ライプツィヒをはじめとするドイツ東部を拠点に活動した、教会音楽家としての色が濃い人物です。ミサで演奏されるカンタータや、オルガンを中心とした多数の鍵盤作品を残しました。
音楽的にも、旋律美や劇性に富んだ音楽を生んだヘンデルと、対位法などの音楽語法を駆使したバッハとは対照的です。
クリスマス時期定番の2曲も、その内容は大きく異なります。
聖書などの言葉を用いて、宗教的なストーリーを描く「オラトリオ」という音楽スタイルで書かれていますが、バッハが聖書に書かれている言葉やコラールを重宝する宗教作品といった印象に比べ、ヘンデルはアリアや音楽描写を多用したオペラのような作品になっています。
ヘンデルの『メサイア』は、キリスト生誕の預言と降誕から始まり、受難を経て復活し、信仰が人々に広まっていく様子を駆け足で描いています。華やかな「ハレルヤコーラス」を始めとして、劇的華麗に音が紡がれていきます。
「ハレルヤ・コーラス」は1:46:00~
注目して聴いてみてください!
■ 楽譜はこちら

ヘンデル:メサイア(別冊解説付) 混声合唱
(全音楽譜出版社)
■ 楽譜はこちら

No.142.ヘンデル メサイア
(日本楽譜出版社)
これに対して、J.S.バッハの『クリスマス・オラトリオ』は、6つのカンタータによって構成されており、イエスの誕生と羊飼いたちとの出会い、東方の博士たちの来訪と、キリストの誕生前後にスポットが当てられています。
■ 楽譜はこちら

GYA00074631 バッハ J. S. : クリスマス・オラトリオ BWV 248
(ベーレンライター社)
こちらは宗教音楽ではありませんが、バッハ、ヘンデルの少し先輩にあたるコレッリの『クリスマス協奏曲』(合奏協奏曲ト短調作品6-8)も、この時期に多く演奏される曲の一つです。
イタリア北東部の町に生まれたコレッリはヴァイオリニストとしても著名で、パリ、ミュンヘン等でも活躍しました。合奏協奏曲とは、複数のソロ楽器を伴う協奏曲のことで、コレッリ、ヴィヴァルディ、ヘンデル他、バロック時代に多く書かれました。
コレッリは、この曲の最終楽章のパストラールに「クリスマスの夜のために作曲」と記しており、ゆったりとしたテンポで、クリスマスの平安と喜びを歌っています。
「パストラール」とは牧歌という意味で、キリストの生誕を祝って羊飼いが吹いた笛の音にちなんだ楽曲を指します。
9:31~がパストラールです
■ 楽譜はこちら

No.168.コレルリ 合奏協奏曲 クリスマス協奏曲
(日本楽譜出版社)
今回はちょっとマジメな音楽を紹介しましたが、次回の第2楽章では、雪の日にぴったりなキラキラとした「冬の音の世界」をテーマに、チャイコフスキーやルロイ・アンダーソンの名曲たちをご紹介します。どうぞお楽しみに!

●この記事を書いた人
もり
魚と麺類がおいしい福岡に生まれ、高校卒業後に渡欧。1年のドイツ語研修を経て、ウィーンにてピアノ、古楽奏法、音楽学、楽器法、指揮法などを学ぶ。帰国後、大学にて音楽学を専攻、同時に棒振り人生をスタート。指揮、トレーナー、講座、編曲等でクラシック系を中心に音楽と携わり、早〇十年。ニュースはスマホで読みますが、楽譜と書籍は紙印刷を今でもこよなく重宝しています。
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特集:さいきん話題の「大人のピアノ」テキストをチェック! テキストや曲集、書籍まで、最近のトレンドをご紹介♪
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巻末:新刊&おすすめ本コーナー
普段の生活の中で“クラシック音楽”が流れているシーンは多く、ちょっと耳をすませば、意外にとっつきやすく身近な音楽だったりします。今回も、そんな生活の中で聞こえる“暮らしック音楽”をご紹介していきたいと思います。
前回はこちら ▼
第1楽章:モーツァルトと洗濯機

前回のモーツァルトつながりでご紹介するのは、日〇の洗濯機から聞こえる洗濯開始のメロディ。
こちらはピアノ・ソナタ第11番(K331)の第1楽章冒頭の部分です。
洗濯機バージョンは速いテンポですが、本来のピアノでの演奏はゆったりとしたテンポで、可愛らしいメロディに癒される曲です。
この第1楽章は、『きらきら星変奏曲』と同じ、“変奏曲”というスタイルで書かれています。
テーマ(冒頭部分)のメロディを、テンポや曲想、拍子等でお色直しをしながら紡がれる変奏曲は、ピアニスト兼作曲家のモーツァルトにとって腕の見せ所で、数多くの変奏曲が遺されています。
この曲の第3楽章として書かれたのが、有名な「トルコ行進曲」で、こちらは快活な行進曲となっています。
■ 楽譜はこちら

全音ピアノライブラリー
モーツァルト:ピアノ・ソナタ イ長調 KV331 [トルコ行進曲付き]
(全音楽譜出版社)
左手で奏でられるリズムと音色は、当時流行していたトルコ軍楽隊を模したもので、楽譜にも「Alla Turca.トルコ風に」と記されています。
人気作曲家の常として、流行に敏感なモーツァルトは、この曲以外にもトルコ・サウンドを用いた作品を遺していますが、またそれは別の機会にご紹介できればと思います。
モーツァルトの脳内イメージを再現したかのような(!?)--
トルコの民族楽器による色彩豊かな演奏を、ぜひお愉しみください。
また、他メーカーの洗濯機からは、同じくモーツァルトのピアノ・ソナタ第16番(K545)の第1楽章が聞こえてきます。
ソナチネアルバムにも収録されている曲なので、「弾いたことある!」という方が多いかもしれません
■ 楽譜はこちら

全音ピアノライブラリー
ソナチネアルバム 第1巻 (今井顕 校訂)
(全音楽譜出版社)
こちらは、いわゆる原典版に近い状態で、後付けされたスラーなどのアーティキュレーションが排除された楽譜です
■ 楽譜はこちら

こどものピアノレッスン
新こどものソナチネアルバム
(全音楽譜出版社)
子どものレッスンにピッタリ!
簡単な解説は、想像力豊かな演奏のヒントになります。
番外編として、ノルウェーの作曲家グリーグによる2台ピアノ版をご紹介します。
モーツァルトの原曲に、グリーグが第2ピアノを追加したアレンジ物で、ばっちりメイクを施したモーツァルトを聴くことが出来ます。
■ 楽譜はこちら

全音ピアノライブラリー
モーツァルト=グリーグ 2台のピアノのためのソナタと幻想曲
(全音楽譜出版社)
ここで豆知識を♪
モーツァルトの膨大な作品からお気に入りを探すのは大変!
いいなと思ったら、K〇〇〇の番号を覚えましょう。
これは世界共通のモーツァルトの作品目録番号で、モーツァルトの作品を書かれた順番に整理した音楽学者の名前をとってケッヘル番号と言われている物です。
この番号さえあれば、協奏曲の何番だったか、何長調だったか等覚えなくても大丈夫です。
因みに、J.S.バッハはBWV、ヘンデルはHWV、シューベルトはDの作品目録番号が付いています。
第2楽章:バッハといえば、コーヒーと電気ポット!?

残暑が終わり、肌寒くなってきたこの時期、ホットな飲み物は心安らぐアイテム。
そんな時、活躍してくれる〇印の電気ポットから聞こえる『メヌエット』BWV Anh114(J.S.バッハ『アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳」より)が、お湯が沸いたことをお知らせしてくれます。
この作品、実はJ.S.バッハのオリジナルではなく、J.S.バッハと同時代のドイツの作曲家ペッツォルトの作品であることが、研究によって判明しました。
アンナ・マグダレーナ・バッハは、バッハの2番目の妻(先妻とは死別)で、二人の間には13人の子供が生まれました。
アンナ自身もソプラノ歌手で、夫の書稿や筆写譜の作成を手伝ったそうです。
そんな愛妻にバッハが贈ったのがこの音楽帳で、J.S.バッハ自身の作品とともに、息子カール・フィリップ・エマヌエル・バッハやフランスで活躍していたフランソワ・クープランの作品等が収められています。
■ 楽譜はこちら

ウィーン原典版150 アンナ・マグダレーナ・バッハのクラヴィーア小曲集
(音楽之友社)
眉間にしわを寄せたような肖像画が印象的なJ.S.バッハですが、ドイツ語の「BACH」は、日本語に訳すと「小川」という意味です。
これをもじって、かのベートーヴェンが「彼はBACH(小川)ではなく、MEER(大海)だ」と称賛したそうですが、膨大な宗教曲を遺した偉大な作曲家の、アットホームな作品集は、やさしいせせらぎを感じさせてくれます。
また、J.S.バッハは大のコーヒー好きだったそうで、父と娘がコーヒーについて争い、
「コーヒーがなきゃ私は生きていけないわ!」
「猫がネズミ捕りを止められないように、娘はコーヒーを止められない」
と歌う『コーヒー・カンタータ(おしゃべりはやめて、お静かに)』という喜劇的作品まで作っています。
J.S.バッハが現代に生きていたら、大好きなコーヒーをいつでも飲めるように、電気ポットは欠かせない存在になっていたことでしょう。
■ トートバッグあります

トートバッグ コーヒーを淹れるバッハくん ナチュラル
(株式会社50)
第3楽章:あたたかさをお届けするクラシック ~ 給湯器&ファンヒーター ~
帰宅し、ほっと一息のタイミングで〇ーリツ給湯器から聞こえるお湯張り終了の音楽は、ドイツ人の作曲家テオドール・エステンが作曲した『人形の夢と目覚め』です。
この曲は全6曲からなる小品集『子供の情景』に含まれる3分程度の小品で、「子守唄」「人形の夢」「人形の踊り」の3部構成になっています。
お湯張り終了のメロディは、第2部の「人形の夢」冒頭部分が使われています。
モーツァルトやJ.S.バッハと比べるとネームバリューの低いエステンですが、ピアノ発表会の定番曲『アルプスの夕映え』や『アルプスの鐘』などを遺しており、ピアノ教師として名高かったエステンの一面がうかがえます。
■ 楽譜はこちら

全音ピアノライブラリー 全音ピアノ名曲選集 下巻
(全音楽譜出版社)
続いて、寒い部屋を暖めてくれるコロ〇の石油ファンヒータから聞こえるのは『エリーゼのために』。
クラシック界の偏屈おやじ代表、ベートーヴェンが恋人に宛てたラブレターともいえる音楽が、「灯油を補充してくださいね」、と優しく語りかけてくれます。

苦虫をつぶしたような肖像画のベートーヴェンですが、いくつも恋をしました。
生涯独身だったベートーヴェンにとって、それは秘めた恋だったのかもしれません。
「エリーゼ」が誰を指すのか、諸説ありますが、この曲はベートーヴェンの生前に発表されることなく、死後40年経った1867年に、音楽学者ノールによって発見されました。
■ 楽譜はこちら

全音ピアノピース002 エリーゼのために(WoO 59)/ベートーベン
(全音楽譜出版社)
第4楽章:しばしの間、音楽をお楽しみください ~電話の保留音~
そして、現在では少なくなった固定電話の保留音にも、多くのクラシック音楽が用いられてきました。
いくつか例を挙げると…
電話の保留音①
カノン(パッヘルベル作曲)
結婚式等でも耳なじみの、ドイツの作曲家パッヘルベルによるカノン(カノンとは、「カエルの歌が~」の輪唱形式で演奏される形式の名称です)。
原曲はこのあと、イギリスの舞踏音楽ジークが続いて演奏されます。
それぞれの声部の重なりが美しく、いろんなアレンジで演奏されている作品です。
■ 楽譜はこちら

ピアノソロ 中・上級
いろいろなアレンジを楽しむ パッヘルベルのカノン
(ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス )

いろんなアレンジで弾く
新・ピアノ名曲ピース 23 カノン
(デプロMP)
電話の保留音②
愛の挨拶(エルガー作曲)
こちらも結婚式でよく弾かれる作品。イギリスの作曲家エルガーが愛妻との婚約記念に贈った作品で、愛らしい旋律が魅力的です。
電話の保留音③
鱒(シューベルト作曲)
■ 楽譜はこちら

声楽ライブラリー
シューベルト歌曲集1(中声)
(全音楽譜出版社)
シューベルトは、31年という短い生涯で600以上の歌曲を遺し、「歌曲の王」と呼ばれています。
この歌曲では、釣り人が策略を使って鱒を釣り上げる様子が描かれていますが、作曲されなかった原詩(シューバルト作詞)では続きがあり、「男性はこうやって女性をたぶらかそうとするから気を付けて」と言う内容になっています。振り込め詐欺に気を付けて!
このメロディによる変奏曲を第4楽章に配した、作曲者自身によるピアノ五重奏曲『鱒』も有名です。
■ 楽譜はこちら

(137)シューベルト ピアノ五重奏曲 イ長調 鱒
(日本楽譜出版社)
電話の保留音④
グリーンスリーヴス(イングランド民謡)
イギリスの作曲家ヴォーン・ウィリアムズがこの旋律を用い、『グリーンスリーヴスによる幻想曲』を書いたことでも有名になった、イングランド民謡の代表曲ひとつです。
■ 楽譜はこちら

(384)ヴォーン=ウイリアムズ グリーンスリーヴズによる幻想曲
(日本楽譜出版社)
電話の保留音⑤
愛のワルツ(ブラームス作曲)
ピアノ連弾用に30代のブラームスが作曲した『16のワルツ』の第15番目のこの作品は、出版当時から人気が高く、ブラームス本人によって独奏用に編曲もされました。
■ 楽譜はこちら

全音ピアノライブラリー
ブラームス ワルツ集 作品39(連弾)
(全音楽譜出版社)
この当時のブラームス、なかなかのイケメンで、晩年のひげもじゃな雰囲気とは別人のようです。
ちなみに、ブラームスと発明王エジソンは懇意の仲だったそうで、新しいテクノロジーに興味津々のブラームスは、エジソンの発明した蓄音機で自作のピアノ曲を録音しており、これがクラシック音楽の録音第一号と言われています。
レコード、CDへと続く音楽録音のパイオニアに、ブラームスがいたなんて意外ですね。
他にも、電話の保留音には色々なクラシック音楽が使われています。
お待たせタイムの音楽なので、運動会やスーパーマーケットのBGMのようなアップテンポの曲ではなく、比較的ゆっくりのテンポで穏やかな曲想のラインナップですね。
エピローグ
メーカーによって違いはありますが、家電製品から聞こえるクラシック音楽は意外とたくさんあります。
最近では、シンプルな電子音や効果音のようなシグナルが主流となってきたかに思えますが、サラッと聞こえるクラシック音楽の1フレーズが、ホットでほっとするひと時を演出してくれます。
何気なく聞こえてくる音楽に耳を傾け、興味をもっていただければ、新しい素敵な出会いが待っているかもしれません。そして少しだけ足を進めて、ネットで検索してみたり、楽譜を開いてみたりしてはいかがでしょうか?
楽譜は音楽にとってレシピのようなものです。
同じレシピでも料理を作る人によって味が異なるように、同じ楽譜でも、演奏者によって聴こえてくる音楽は異なります。
レシピを知れば料理に興味が持てるように、楽譜を見れば、その曲の隠し味が聞こえてくるかもしれません。楽器が得意でない方も、楽譜に馴染みがない方も、簡単な楽譜の読み方をマスターし、素敵な出会いや楽しい発見を楽しんで頂ければと思います。
それでは、身も心も温かい空間で、素敵な芸術の秋をお過ごしください。

●この記事を書いた人
もり
魚と麺類がおいしい福岡に生まれ、高校卒業後に渡欧。1年のドイツ語研修を経て、ウィーンにてピアノ、古楽奏法、音楽学、楽器法、指揮法などを学ぶ。帰国後、大学にて音楽学を専攻、同時に棒振り人生をスタート。指揮、トレーナー、講座、編曲等でクラシック系を中心に音楽と携わり、早〇十年。ニュースはスマホで読みますが、楽譜と書籍は紙印刷を今でもこよなく重宝しています。