■Part.2:カート・ローゼンウィンケル以降のギタリストたち/井上銘が語る 現代ジャズ・ギターの皇帝カート・ローゼンウィンケル 2000年代のジャズ・ギターはカート・ローゼンウィンケルによって変革がもたらされた。1970年にアメリカ・ペンシルベニア州で生まれたカートは9歳からピアノを始め、12歳の頃にはジャズ・ギターへ傾倒する。のちにバークリー音楽大学へ入学するが、ゲイリー・バートンのバンドへ参加するために中退。ポール・モチアン(d)のバンドにも加入するなど、早くから大物ジャズマンの下で腕を磨いていく。カートの影響力が高まるのは2000年代のソロ作から。『The Next Step』(2001年)は変則チューニング、自身の声をギターに重ねるなどの実験性に満ちた作品で多くのギタリストを驚かせた。トライアドを多用したピアノ的アプローチ、難解なスケールの使用、和声機能にとらわれない作曲など、ジャズ・ギターの新たな考え方を広めたカートの功績は大きい。そんな彼によるイノベーションと、カート以降に登場したギタリストたちを紹介しよう。