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【連載】クラシックに詳しっく!|第10番 結婚式を彩るクラシック〈後編〉

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湿度の高い梅雨の今日この頃ですが、お変わりはありませんでしょうか?

6月といえば「ジューンブライド」の月、ということで、今月の「クラシックに詳しっく」は、幸せあふれる結婚式や結婚に因んだクラシック音楽をご紹介しています。

後半の今回は、オペラ作品や声楽曲などを中心にセレクトしてみました。
後半も引き続きお楽しみ頂ければ幸いです。

連載「クラシックに詳しっく!」とは?(←Click!)

普段の生活の中でクラシック音楽が流れているシーンは意外と多く、
ちょっと耳をすませば、驚くほど身近で親しみやすい音楽だったりします。


この連載では、そんな“日常でふと耳にするクラシック=暮らしック音楽”を、

季節やテーマに合わせて詳しく、楽しくご紹介していきます。

バックナンバーはこちらから♪

第1番 生活の中にある「暮らしック音楽」
第2番:おはようからおやすみまで - 生活を彩る暮らしック音楽
第3番:クリスマスを迎える前に/第1楽章『クリスマスを祝う宗教曲』
第3番 クリスマスを迎える前に/第2楽章『雪の日のキラキラサウンド』
第3番:クリスマスを迎える前に/第3楽章 すべてを超えた讃美歌
第3番 クリスマスを迎える前に/第4楽章『やっぱり第九!』
第4番:ゆく年くる年クラシック
第5番「馬」にちなんだ名曲たち 前編 後編
第6番 愛の物語~作曲家からのラブレター その1 その2 その3
第7番 式典を彩る音楽~卒業式編 前編 後編
第8番 春の訪れ 前編 後編
第9番 どこかで聴いたクラシック 前編 後編
第10番 結婚式を彩るクラシック 前編 後編

第3部:クラシック界永遠のアイドル、モーツァルトの登場です

1756年ザルツブルグに生まれたモーツァルトは、小さなころから音楽的才能を発揮し、ヴァイオリニストだった父レオポルドのマネージメントによって、神童としてパリ、ロンドン、イタリアなどで華々しく活躍しました。また旅先で教えを請いながら、各国の様々な音楽を吸収し、自作に反映させました

これらの経験と名声を売り込み材料に、宮廷や教会などの就職先を得ようとするものの、なかなか思うようにいかず、ザルツブルグの大司教に仕える音楽家として活動を始めます。

しかし制約が多く、雇用主である大司教と衝突し、25歳の時に職を辞し、フリーランスの音楽家としてウィーンに居を定め、活動を始めました。

音楽好きの皇帝ヨーゼフ2世や貴族たちからの援助、宮廷音楽家の一人としての賃金、作曲やレッスンの報酬などで収入を得るものの、楽な生活ではなく、わずか35歳で天に召されました。

私生活面では苦しい日々でしたが、残された音楽の多くは天真爛漫、天衣無縫で、結婚式をはじめ、様々なシーンで演奏されています。

そんなモーツァルトの作品から、まずは雅な響きの作品をご紹介しましょう。

🔔『フルートとハープのための協奏曲』ハ長調(K.299)

ソリストのインタビュー 
第1楽章(5:28) 第2楽章(15:43) 第3楽章(25:00)

この作品は、モーツァルトがパリに滞在していた22歳に、音楽教師を務めていたフランスの貴族からの「娘の結婚式で親子共演するための作品を」という依頼で書かれました。この家は、父がフルート、娘がハープを嗜むという音楽愛好一家で、フルートとハープという組み合わせのこの協奏曲は、明るく優美なモーツァルトならではの作品です。

フルートは当時、未完成の楽器で音程が不安定だったため、モーツァルト自身はフルートに対してあまり興味を持っていなかったようです。しかし、『フルートとハープのための協奏曲』を書く前年には、フルートを吹く裕福な医者の注文によって、2曲のフルート協奏曲と3曲のフルート四重奏曲が書かれており、フルート作品が集中して生み出された時期と言えます。

🔔セレナーデ第13番『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』ト長調 (K.525)

第1楽章(0:05) 第2楽章(4:25) 第3楽章(10:28) 第4楽章(12:36)

モーツァルトの600曲以上の作品の中でも、特に有名な作品で、タイトルを訳すと「アイネ(1つの)クライネ(小さな)ナハト(夜の)ムジーク(音楽)」となり、セレナーデ第13番とも呼ばれています。

モーツァルトは「セレナーデ」や「ディヴェルティメント」と名付けた作品を30曲ほど残しています。これらは、貴族などの依頼によって、ホームパーティや婚礼祝宴などの場でBGMとして演奏するために書かれた曲が多く含まれており、そんな場に相応しい、明るく軽快な曲想となっています。

この『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』がどのような経緯で書かれたかは不明で、元々は5楽章から成る作品として構想されたのではないかと推測されていますが、現存する楽譜には4つの楽章のみが残されています。

🔔『ディヴェルティメント』ニ長調 K.136

第1楽章 (0:02) 第2楽章(6:25) 第3楽章(14:02)

モーツァルトの20曲ほどの『ディヴェルティメント』の中で、演奏頻度が高いのがこのK.136でしょう。

「ディヴェルティメント」の語源はイタリア語のdivertire(楽しませる、愉快にさせる)で、日本語では喜遊曲と訳されています。

この曲は、モーツァルトがイタリア旅行からザルツブルグに戻った16歳の時に書かれたと言われており、各楽章のテンポが急-緩-急の設定で、明快な旋律とシンプルな和声などイタリア式序曲といわれる様式で書かれています。

そして、「モーツァルト」と「結婚」で欠かせない曲がこちらです。

🔔歌劇『フィガロの結婚』(K.492)

約3時間の上演時間、物語に絡む登場人物は10人以上、色々な伏線回収が仕込まれた大作ですが、劇中の『恋とはどんなものかしら』や『もう飛ぶまいぞ、この蝶々』などのアリアは、どこかで耳にされたことがあるかと思います。

第2幕で、女性が男性(ケルビーノ)役を演じて歌う『恋とはどんなものかしら』

第1幕を締めくくる『もう飛ぶまいぞ、この蝶々』

歌劇『フィガロの結婚』は、フランスの劇作家ボーマルシェが書いた風刺劇「狂おしき一日、あるいはフィガロの結婚」が原作です。この戯曲は1784年にパリで初演され、大人気となりました。しかし、貴族社会を痛烈に批判し、庶民の機知で貴族をやり込める内容で、当時の王侯貴族に対してかなり刺激的な作品だったため、貴族階級の反感を買い、たびたび上演禁止にあったそうです。

因みにこの当時のフランスは、ルイ16世によるアメリカ独立戦争への支援や、王侯貴族の浪費によって財政破綻に陥っており、1789年にはパリ市民がバスティーユ牢獄を襲撃、フランス革命が勃発しました。

ウィーンでオペラ作曲家としての地位を確立したいと強く願っていたモーツァルトにとって、この戯曲は話題性に満ちた格好の題材でした。そこで、宮廷で詩人としてオペラのイタリア語台本を作成する仕事をしていた台本作家ダ・ポンテと相談し、社会的風刺ではなく、登場人物の心理や感情に光を当て、喜劇としての明るさや人間味を前面に出す作品として作り替えました。

序曲(1:41) 伯爵のたくらみを知ったフィガロは…(12:27)  
伯爵が現れて、さぁ大変!(30:55) 祝福の合唱のはずが…(40:22) 
もう飛ぶまいぞ、この蝶々(45:11)
第2幕、夫人の嘆きのアリア(49:26)  恋とはどんなものかしら(58:13)  

ズボン役として男役を歌う女性を、女役に変装させるW変装(1:02:27)
人が入れ替わってる⁉(1:20:35) フィガロ登場(1:26:00) 
第3幕、困惑する伯爵(1:39:40) フィガロの出生が明かされて…(1:51:03) 
昔を懐かしむ伯爵夫人(2:00:05) 手紙の二重唱(2:08:00) 
第4幕(2:22:00) スザンナに裏切られたと思っているフィガロの葛藤(2:36:10)  
登場人物入り乱れてのフィナーレ(2:46:58)   伯爵夫人が現れて…(3:00:06)

歌劇『フィガロの結婚』は、1786年5月1日、モーツァルトが30歳の時ウィーンのブルク劇場で初演されました。当初は好評を博したものの、危険思想的な内容のため、9回で上演が打ち切られることとなりました。

失意のモーツァルトでしたが、その半年後、プラハのエステート歌劇場で上演され大ヒット! 空前のフィガロ旋風の中、モーツァルト自身の指揮による上演も大成功しました。

このプラハ来訪時に初演されたのが交響曲第38番ニ長調(K.504)で、初演の地名から、この交響曲は『プラハ』という愛称で呼ばれています。

第1楽章導入部(0:02) 第1楽章主部(2:51) 第2楽章 (14:20)  第3楽章(25:06)

モーツァルトは、歌劇『フィガロの結婚』の大成功を受け、エステート歌劇場から次のシーズン用のオペラ新作を依頼されました。この依頼によって書かれたのが歌劇『ドン・ジョヴァンニ』(K.527)です。台本は歌劇『フィガロの結婚』と同じダ・ポンテが担当し、1787年10月29日、モーツァルトの指揮によって行われたプラハでの初演は大成功を収めました。

歌劇『ドン・ジョヴァンニ』第2幕フィナーレの晩餐のシーンには歌劇『フィガロの結婚』の一節が登場しており、プラハの聴衆への感謝と嬉しいサプライズとなっています。

『フィガロ』のメロディは3:32~

■楽譜はこちら


オイレンブルクスコア モーツァルト:フルートとハープのための協奏曲ハ長調K.299ルート (全音楽譜出版社)


フルート ポピュラー&クラシック名曲集(ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス)

『フルートとハープのための協奏曲』は第2楽章のみの収録です


GYW00000228 モーツァルト フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 KV 299/新モーツァルト全集版(輸入譜・ベーレンライター社)

ハープとオーケストラ部分をピアノに編曲した、フルート・ソロ用の楽譜です。


ポケットスコア モーツァルト アイネ・クライネ・ナハトムジーク K525 (全音楽譜出版社)




全音ピアノライブラリー モーツァルト アイネ・クライネ・ナハトムジーク 
(全音楽譜出版社)

ツェルニー30番程度のテクニックで楽しめるアレンジとなっています。


アイネ・クライネ・ナハトムジーク ギター二重奏のためのクラシック名曲集 
(現代ギター社)

モーツァルト、ラヴェル、ファリャ他をギター二重奏用にアレンジ!


ポケットスコアNo14 モーツァルト 3つのディヴェルティメントK136~138 
(日本楽譜出版社)


LCS56 クラリネット四重奏のための「ディヴェルティメント」K.136 モーツァルト
(フェアリーオンデマンド)


ピアノソロ ドラゴン モーツァルト ピアノ協奏曲第20番 ディヴェルメントニ長調 K.136(共同音楽出版社)


ポケットスコア モーツァルト オペラ『フィガロの結婚』序曲K492 (全音楽譜出版社)


GYA00060065オペラ「フィガロの結婚」 KV 492/新モーツァルト全集版/Finscher編: スタディスコア
(ベーレンライター社)


オペラ・アリア 最新・オペラ名アリア選集 ソプラノ(2) 
(音楽之友社)


発表会・演奏会で輝くヴァイオリン人気レパートリー カラオケCD2枚付き(シンコーミュージックエンタテインメント)


ポケットスコア モーツァルト 交響曲第38番ニ長調K504『プラハ』 (全音楽譜出版社)


第4部:言葉だけでは恥ずかしくても、旋律と共に伝える想い

🔔連作歌曲集『ミルテの花』op.25より『献呈』/シューマン

ミルテの花は、日本名ではギンバイカ(銀梅花/銀盃花)と言い、花嫁のブーケや冠などの装飾に使われている夏に咲く白い花で、幸運、恋愛、結婚、純潔の象徴とされています。

音楽や文学などに登場する場合も、そのような象徴として扱われていることが多く、このシューマンの歌曲集ミルテの花はその一例と言えます。

この作品は、1840年9月12日の結婚式の前日に、シューマンが「愛する花嫁へ」贈った全26曲から成る連作歌曲集です。

『クルミの木』『蓮の花』『花嫁の歌』『君は一輪の花のように』他、情感豊かな2分前後の曲が続きます。この歌曲集の中に「ミルテの花」は出てきませんが、この連作歌曲集が結婚の喜びや感謝を込めた贈り物ということで、このタイトルが付けられました。

特に第1曲目の『献呈』は、多くの作曲家が曲を付けたフリードリヒ・リュッケルトの詩による歌で、全身全霊で恋人を熱烈に愛する想いが描かれています。

この歌の後奏には、シューベルトの『アヴェ・マリア』の冒頭が引用されており、妻クララに聖母マリアを重ねたかのようなシューマンの溢れる想いが聞こえます。

『ミルテの花』が書かれた1840年は、『リーダークライス』(op.24)、『女の愛と生涯』(op.42)、『詩人の恋』(op.48)など、歌曲が集中して書かれた時期に当たっており、シューマンの「歌曲の年」と言われています。

この曲をピアノ独奏用にアレンジしたのがリストで、こちらもよく弾かれる作品です。シューマンの純粋な愛情表現と異なり、ヴィルトゥオーゾならではの華麗な編曲が施されており、ドラマティックに感情を歌い上げています。

ピアノ独奏版は上の動画で取り上げたリストのものがよく知られていますが、華麗な編曲を快く思っていなかったシューマンの妻クララは、夫の歌曲に忠実なピアノ独奏版を自ら書きました。

オリジナルの歌曲に沢山の装飾と変奏を付けた、華やかでドラマティックなリスト編曲版に対し、クララ編曲版は敢えて何も味付けをせず、ピアノの伴奏に声部の旋律を加えただけとなっており、夫の音楽をそのまま伝えようとする姿勢を感じます。

■楽譜はこちら


声楽ライブラリー シューマン歌曲集 2(中声用)
(全音楽譜出版社)

『リーダークライス』と『ミルテの花』全曲を収録


全音ピアノピース577 シューマン/リスト編曲 『献呈』(全音楽譜出版社)


輸入 ピアノソロ クララによるシューマン歌曲のピアノソロ編曲集
(輸入・リース&エアラー)


チェロ名曲集 ピアノ伴奏付き (全音楽譜出版社)

サン=サーンスの『白鳥』、J.S.バッハの『アヴェ・マリア』他、チェロならではの音色が楽しめる曲を集めています。


🔔『ジュ・トゥ・ヴ(あなたが欲しい)』/サティ

この曲は人気シャンソン歌手ポーレット・ダルティのために書かれた歌曲です。女性から男性に愛を告げる歌で、優美なワルツのメロディと強気に迫る歌詞のコントラストが面白い作品になっています。


後にサティ自身がピアノソロ用に書き直したことで知られるようになりました。



サティは19世紀末のパリを中心に活動した作曲家で、昨年2025年に没後100年を迎えました。

幼少期から音楽の才能を見せ、13歳でパリ音楽院に入学するものの、保守的なアカデミズムに嫌気がさし自主退学、その後、ショーや演奏を楽しむカフェ・コンセール「黒猫」でピアニストとして活動し、生計を立てました。この頃に書かれたのが代表作の一つ『3つのジムノペディ』です。

第1番(0:07)  第2番(3:07)  第3番(5:40) 
古代ギリシアの詩の朗読などが含まれる、儀式のような「ジムノペディア」という祭典からつけられた名前

この曲は友人であったクロード・ドビュッシーによってオーケストラ用に編曲されました。なお、編曲されたのは第1番と第3番のみで、ジムノペディ第1番は第3番に、ジムノペディ第3番は第1番として、順番を入れ替えています。

第1番(サティ版の3番)0:09  第3番(サティ版の第1番)3:11

その後、パリ音楽院を反面教師として設立された音楽学校スコラ・カントルムに通い、古い作曲法などを学びました。1917年にジャン・コクトーの台本、ピカソの装置と衣装によるバレエ音楽『パラード』を発表、サイレンやタイプライター、ラジオの雑音、空き瓶やパイプを叩く音など、騒音や現実音を取り込んだ音楽でセンセーショナルを起こしました。

「音楽界の異端児」、「音楽界の変わり者」という異名を持つサティですが、酒場でピアノを弾いていた彼にとって、音楽とは会話の妨げにならないことが重要であり、自分の作品は、家具のようにただそこに存在している音楽(家具の音楽)と呼んだそうです。この考え方は現代のイージーリスニングや環境音楽のはしりと言えるものですが、歴史を振り返ってみれば、貴族の宴会時のBGMだったモーツァルトの時代のディヴェルティメントのようなイメージなのかもしれません。

また、『ヴェクサシオン』(「嫌がらせ」という意味)という作品では、拍子やテンポ設定がない音楽を840回の繰り返すように指定されており、ミニマル・ミュージック(1960年代アメリカで生まれた、短いフレーズの反復や徐々の変化を特徴とする現代音楽の様式)の先駆けとなっています。

拍子記号、調号、小節線を排除した楽譜

『(犬のための)ぶよぶよとした前奏曲』『右や左に見えるもの(眼鏡なしで)』『梨の形をした3つの小品』(実際は7つの小品からなるピアノ曲)、『干からびた胎児』など、奇妙なタイトルの作品が多いサティですが、これも新たな音楽の方向性を探っていたサティならではの挑戦だったのでしょうか。

■楽譜はこちら


標準版ピアノ楽譜 サティ ピアノ作品集1 
(音楽之友社)

『ジュ・トゥ・ヴ』、『3つのジムノペディ』他、初期作品を収録しています。


GYC01102491  サティ あなたが欲しい – ジュ・トゥ・ヴー(高声用) (仏語)
(輸入・サラベール社)


バイオリン やさしく弾ける デュオ・アルバム 
(ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス)

ミュージカル、J-pop、クラシックと様々なジャンルからおなじみの曲をヴァイオリン2本で楽しめる楽譜です。


🔔歌劇『ジャンニ・スキッキ』より『愛しい私のお父さん』/プッチーニ

この作品は、大富豪の遺産を巡る騒動を描いたプッチーニの唯一の喜劇『ジャンニ・スキッキ』で歌われるアリアです。

大富豪ブオーゾが亡くなり、その遺言状を親族たちが探している場面で、このオペラは幕を開けます。

ブオーゾの甥リヌッチョと新興市民の娘ラウレッタは、将来を誓い合っていますが、ブオーゾの一族は身分の違いを理由に、結婚に反対をしていました。

遺言状の内容次第ではラウレッタと結婚できると考えたリヌッチョは、ラウレッタとその父親ジャンニ・スキッキをこの場に呼びます。

しかし、ブオーゾの親族から「持参金なしには結婚させない」と言われたスキッキは、怒ってその場から立ち去ろうとします。

その時ラウレッタが歌うのがこのアリア(短い曲なのでアリエッタとも言われています)で、「もしリヌッチョと結婚できないのなら、ポンテ・ベッキオ(名所にもなっている古い橋)からアルノ川に身投げするわ!」と、スキッキに自分たちの結婚のために一肌脱いでほしいと懇願(脅迫!?)する歌です。

親族に侮辱されたスキッキは立ち去ろうとしますが、娘に懇願され…(2:27)

娘の一途な思いに心動かされた父親は、機転を利かした悪知恵で遺産を若い二人に与えるよう遺言書を書き換え、幸せな二人を見つめて、幕となります。

愛しい私のお父さん(21:16)

『ジャンニ・スキッキ』は、一晩に連続して上演することを想定して書かれた3曲の1幕オペラ「三部作」の1曲で、1918年に初演されました。

不倫殺人を描いた『外套』、子供と生き別れになったシンママの贖罪を描いた悲劇『修道女アンジェリカ』、そして『ジャンニ・スキッキ』の順で上演するのがプッチーニの当初の意図でしたが、現在では、単独で上演されたり、他の作曲家の短いオペラと組み合わせて上演される機会が増えています。

■楽譜はこちら


独唱 最新・オペラ名アリア選集 ソプラノ(1) 
(音楽之友社)

『フィガロ』の2幕冒頭の伯爵夫人のアリアも収録されています。


アルト・サックスで吹きたいクラシックの名曲あつめました。 改訂版 カラオケCD付 
(シンコーミュージックエンタテインメント)

『ジュ・ドゥ・ヴ』や『愛の挨拶』等、結婚式にもピッタリの曲が収録されています。


おぺら読本対訳シリーズ(55)ジャンニ・スキッキ 
(おぺら読本出版)


🔔『喜歌劇『メリー・ウィドウ』より『唇は黙して』/レハール

色んなわだかまりや意地を張っていた二人が、ようやく本心を打ち明ける、大人の恋の音楽です

レハールはラフマニノフやシェーンベルグと同じ世代の、ハンガリーに生まれた作曲家です。プラハ音楽院でドヴォルザークに学び、ウィーンでオペレッタの作曲家として一時代を築きました

オペレッタとは、「小さなオペラ」という意味(ソナタとソナチネみたいな関係ですね)で、日本語では喜歌劇と訳されています。オペラと同じく、歌や重唱、合唱などはありますが、伴奏なしの台詞だけの部分が多く、ダンスやワルツを交えた華やかなシーンも取り入れられ、ユーモラスな娯楽性にあふれたストーリーの作品で、気軽に楽しめるエンターテインメントです。

オープニング(0:00) マキシムへ行こう(0:50) 
ヴィリアの歌(3:25) 唇は語らずとも(8:32)

1905年に初演された『メリー・ウィドゥ(陽気な未亡人)』はレハールの代表作の一つであるばかりでなく、オペレッタを代表する作品の一つです。

オーケストラによる、ハイライト的メドレー集

莫大な遺産を継いだ未亡人ハンナ・グラヴァリは祖国ポンテヴェドロを離れ、パリで暮らしています。

もし彼女が外国人と結婚すれば、彼女の財産が流出し、ポンテヴェドロは破産してしまうため、公使館の人々は、なんとか自国民と結婚させるよう、策を練ります。

そこで白羽の矢が立ったのが、ダニロ・ダニロヴィッチ伯爵。実は、彼とハンナは恋仲でしたが、ハンナが貧しい身分の出身だったため、結婚を許されず、別れた過去があります。

そんな苦い想い出を抱えた二人は、再会するも素直になれず、ダニロは「金目当てと思われたくない」と恋心を隠し、ハンナも昔のキズやプライドが邪魔し、なかなか本心を表しません

そんなストーリーが心浮き立つ、でも時折甘酸っぱく響くワルツの調べに乗せて紡がれるこのオペレッタは、ちょっと意地っ張りなカップルが素直になれるような甘い旋律が盛りだくさんです。

美味しいとこ取りのメドレーをお楽しみください

■楽譜はこちら


ポケットスコアNo.306 レハール メリーウィドゥ・ワルツ(日本楽譜出版社)


最新・オペラ名アリア選集 オペレッタ名歌集(音楽之友社)

『メリー・ウィドゥ』、『こうもり』はじめ、オペレッタの名場面がぎゅっと詰まった1冊です。


オペレッタアリア名曲集 ソプラノ/メゾソプラノ(ドレミ楽譜出版社)


全音ピアノピース205 メリーウィドーワルツ/レハール(全音楽譜出版社)


🔔『ミルテの花冠』/J.シュトラウスⅡ世

ジューンブライドの「クラシックに詳しっく」、最後を飾るのは、ワルツ王ヨハン・シュトラウス2世がオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世とバイエルン公女エリーザベトの結婚式を祝う舞踏会のために作曲したワルツ『ミルテの花冠』です。元々は『エリザベート・ワルツ』というタイトルでしたが、後に『ミルテの花冠』へと改題されました。

ミルテの花冠とは、シューマンの項でお話しした花嫁が被る花の冠飾りのことです。

J.シュトラウス2世は、『ラデッキー行進曲』で有名なJ.シュトラウスⅠ世の子として生まれましたが、音楽業界の厳しさを身をもって知っている父から音楽への道を反対され育ちました。

しかし、母親の理解と援助、そして本人の努力と才能によって、18歳で自前の楽団を率いて華々しいデビューを飾り、ワルツ作曲家、ヴァイオリニストとして一目置かれる存在となりました。やがて父親とも和解し、二人の弟ヨーゼフとエドゥアルトにも協力を頼み、ワルツ王として君臨しました。その活動はパリやロンドンはもとより、ロシアやアメリカなどにも及びました。

その後、オペレッタの分野にも進出、『こうもり』『ジプシー男爵』『ウィーン気質』などの作品を残し、その後に続くレハールに大きな影響を与えました。

『美しき青きドナウ』『皇帝円舞曲』『ウィーンの森の物語』他、500曲近い作品は、今でもウィーン・フィルハーモニ管弦楽団によるニューイヤーコンサート始め、世界中で愛されています。

■楽譜はこちら


全音ピアノライブラリー シュトラウス ピアノ連弾曲集2
(全音楽譜出版社)

『ウィーンの森の物語』、『春の声』他を連弾で楽しめる楽譜です。


全音ピアノライブラリー シュトラウス ワルツ・ポルカ集(全音楽譜出版社)

こちらはピアノソロ用に編曲された楽譜です。


結婚式や披露宴で聞かれる曲には、ほぼ必ずと言っていいほどクラシック音楽が使われています。気付かないうちにに耳なじみになっている曲が多くあるかと思いますが、そんな曲と「クラシックに詳しっく」で再会し、楽しんで頂ければ嬉しく思います。

何気なく聞こえてくる音楽に耳を傾け、興味をもっていただければ、新しい素敵な出会いが待っているかもしれません。そして少しだけ足を進めて、ネットで検索してみたり、楽譜を開いてみたりしてはいかがでしょうか?

楽譜は音楽にとってレシピのようなものです。同じレシピでも料理を作る人によって味が異なるように、同じ楽譜でも、演奏者によって聴こえてくる音楽は異なります。レシピを知れば料理に興味が持てるように、楽譜を見れば、その曲の隠し味が聞こえてくるかもしれません。楽器を弾くのが苦手な方も、楽譜に馴染みがない方も、簡単な楽譜の読み方をマスターし、素敵な出会いや楽しい発見を楽しんで頂ければと思います。

来月は夏休み特集として、楽器紹介シリーズ第1弾を予定しております。次回もお楽しみに😊

この記事を書いた人

もり
魚と麺類がおいしい福岡に生まれ、高校卒業後に渡欧。1年のドイツ語研修を経て、ウィーンにてピアノ、古楽奏法、音楽学、楽器法、指揮法などを学ぶ。帰国後、大学にて音楽学を専攻、同時に棒振り人生をスタート。指揮、トレーナー、講座、編曲等でクラシック系を中心に音楽と携わり、早〇十年。ニュースはスマホで読みますが、楽譜と書籍は紙印刷を今でもこよなく重宝しています。

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