ピアノ教本/クラシックピアノ

テーマは「学び」。今年で50回を迎えるピティナ・ピアノコンペティションについて知ろう!

ピアノ教本/クラシックピアノ

今年第50回を迎える「ピティナ・ピアノコンペティション」は、多くの方がその名前を耳にしたことのある、日本最大級のピアノコンクールです。
歴代の出場者には角野隼斗さん、亀井聖矢さん、桑原志織さんといった世界的なピアニストが名を連ね、若き才能が羽ばたく登竜門としての役割を担ってきました。

しかしその一方で、「どんな特徴があるのか」「誰が参加できるのか」「どんな価値があるのか」までは、意外と知られていないかもしれません。

本記事では、ピティナ誕生の背景から、コンペティションの特徴、参加の仕組み、そして得られる学びまでをご紹介します。

これから参加を考えている方はもちろん、しばらくコンペから離れていた指導者の方にも、あらためてその魅力を感じていただければ幸いです。

お話をお聞きしたのはこちらのお二人!

ピティナ本部事務局 加藤様・森本様

1. ピティナ誕生の背景とコンペティションの原点

―― ピティナ、そしてピティナ・ピアノコンペティションはどのような背景で生まれたのでしょうか?

加藤様・森本様(以下ピティナ):ピティナは1966年、創設者の福田靖子を中心に「ピアノ指導者の資質向上」を目的に誕生しました。

当時はピアノを習う子供が急増していた時期でしたが、指導法や教材の研究はまだ発展途上でした。そこで、「指導者が互いに学び合い、切磋琢磨する場が必要だ」という想いから、1977年に現在のコンペティションの前身となる「ヤングピアニストオーディション」と「ピアノ検定」が始まりました。

ピアノコンクールを通じて自身の「指導力」を省み、指導者の成長を促すねらいがありました。バロック・クラシック・ロマン・近現代の「四期」をバランスよく学ぶスタイルは、現在までピティナ・ピアノコンペティションの伝統として続いています。

ピアノ指導者が、良い指導・良い演奏を学び合い、共有することで、日本の音楽教育全体のレベルを底上げしたいという願いが、私たちの原点です。

ピティナ公式キャラクター「ぴてぃにゃん」と「ピィ先生」
ぴてぃにゃんは普段はピティナ事務局で働く会社員なんだとか…!

2. どれくらいの人が参加しているのか/誰でも参加できる?

―― ピティナ・ピアノコンペティションは毎年何名くらいが参加されるのですか?また、誰でも参加できますか?

ピティナ:毎年、延べ約40,000組(ソロ・デュオ合計)の方々にご参加いただいています。

「誰でも参加できるのか」という点については、ピティナは「ピアノを学ぶあらゆる世代・レベルの方にふさわしいステージがある」という意味で、未就学の方から専門家を目指す方まで、また連弾や社会人向けの部門など、非常に広く門戸を開いています。

また、近年では、予選に動画で応募できる部門を設けたり、コンクールそのものでなくても課題曲を動画で収録してアドバイスをもらえるイベントを併催したりしています。

ピティナ・ピアノコンペティション課題曲チャレンジはコンペ課題曲を演奏した動画を提出することで、
審査や指導の経験豊かな音楽家3名から具体的・実践的で親身なアドバイスがもらえます。

コンペティションでは、公平な審査を行うため、各部門・級ごとに以下のような参加規定を設けています。

年齢・学年による区分
未就学児(A2級)から高校生以上(F級)まで、基本的には学年に応じた級設定となっており、ご自身の年齢に該当する級を選んで参加していただきます。

大人の方・愛好家の方
中学生以上の愛好家を対象とした「グランミューズ部門」があり、年齢や学習の背景に応じたカテゴリーをご用意しています。

専門家を目指す上位級(特級など)
最も難易度の高い「特級」「Pre特級」「G級」などは、将来ピアニストを目指す方を対象としており、G級では年齢制限があり、また、特級・Pre特級では年齢制限はありません。学習段階に応じてレパートリーやステージ経験を身に付けていただく構成となっています。


それぞれの学習段階や目的に合わせて最適な級を選んでいただけるよう、さまざまな参加の形を準備しています。ご自身の年齢や目標に合った級を見つけ、ぜひ挑戦してみていただければと思います。

ピティナ・ピアノコンペティション参加カテゴリー一覧

3. ピティナ・コンペティションの特徴とは

―― ピティナ・ピアノコンペティションの特徴はどんなところにあるのですか?大切にされていることはありますか?

ピティナ:コンペティションで最も大切にしているのは、「公正・公平な評価」「学びの継続」です。

公平な審査
演奏番号での審査や全国各地へのランダムな審査員派遣など、公平な審査に対して最も早い時期から取り組んできたのがピティナ・ピアノコンペティションです。
現在も、各地区・各級で、複数の審査員が複眼的・客観的な視点で評価します。審査員の連絡会や初任研修等も行われており、審査を通じて音楽家・指導者として学び続けることが求められています。

常に「学び」を意識したコンクール
偏りなく幅広い時代の作品を学ぶことで、音楽の基礎体力を養います。指導者向けの課題曲セミナーやeラーニングコンテンツの充実、学習者・一般の方でも視聴できるYouTubeでの課題曲演奏動画(課題曲聴き比べ)など、音楽の魅力と作品解釈・表現の可能性を、ピアノコンクールを通じて紹介しています。
Jr.G級、Pre特級、特級など専門家としての学習を視野にいれた上位級では、マスタークラスや研修会が行われ、コンクール参加にとどまらない音楽家の育成にも力を注いでおり、こうした取り組みを持ったコンクールは世界的にも稀少な存在です。

圧倒的なステージ数
全都道府県、全国200箇所以上で地区予選を開催しており、身近な場所で「本番の緊張感」を経験できる環境を整えています。

ピティナ・ピアノコンペティション課題曲聴き比べ2026
【A2級 バロック】呉 暁:アキ ピアノ教本 3 ならんだり はなれたり

4. ピティナ・コンペティションで得られるものとは

―― ピティナ・ピアノコンペティションを通じて生徒・指導者・保護者の方が得られることとはどんなことでしょうか?

ピティナ:コンペはどうしても入賞や採点という結果が出るものでありますが、順位の結果以上に、目標に向かって歩む「プロセス」そのものが大きな財産となります。

1. 生徒:継続する力と一生ものの自信
2023年度に創設した「A1〜F級コンプリート賞」は、幼少期から高校生レベルまで継続して挑戦した証として贈られます 。
・自分自身の成長: 自分で決めた目標に向かって努力することで、結果だけでなく「やり抜いた」という確かな自信が芽生えます 。
・文武両道の支え: 勉強や部活が忙しい時期も、コンペという目標があるからこそピアノを続けられたという声が多く届いています 。

2. 指導者・保護者:成長を分かち合う喜び
・人間力の育成: 困難や不安を乗り越えて舞台に立つ経験は、忍耐力や精神的な強さを養います 。
・信頼の積み重ね: 先生や家族が努力を認め、支え続けることで、技術を超えた深い絆が生まれます 。

ピティナコンペを通じて様々な力が身につきます

―― 実際に参加された方からはどのような声が届いていらっしゃいますでしょうか?

連載「わたしとコンペ」のご紹介
現在、コンペ50回記念企画としてコンペの経験がその後の人生にどう活きているか、多様な分野で活躍する方々の物語を特設サイトで連載しています。

「わたしとコンペ」特設サイト

実際にコンペに参加を継続してこられた方のリアルな声は、今挑戦している皆さまへの大きなエールとなるはずです。

5. 課題曲はどのように選ばれるのか

―― 課題曲はどのように選ばれるのですか?

ピティナ課題曲選定委員会という専門の組織があり、1年以上の歳月をかけて選定しています。

教育的価値
その級の学習者にとって必要なテクニックや表現力が含まれており、ピアノ学習を連続的に効率的に行っていくにあたって最適な要素を含む作品を厳選しています。

多様性
有名な名曲だけでなく、隠れた傑作や現代の日本人作曲家の作品も積極的に取り入れています。これは、音楽の多様性を紹介するとともに、もともと邦人作品の紹介にも熱心だった創設者・福田靖子の願いも体現しています。

演奏の楽しさ
「この曲を弾いてみたい!」と心が動くような魅力的な楽曲をバランスよく構成しています。


毎年、新しい「音楽との出会い」を提供できるよう、委員の先生方が議論を重ねて決定しています。「理想の課題曲リスト」があるわけではなく、時代の変化に応じて、常に見直しを図り、その時々のピアノ学習者・指導者のニーズを追求しています。

6. 他のコンクールとの関係性

―― 近年では「ブルグミュラー・コンクール」をはじめ、新しいコンクールも企画されています。これらはどのような位置づけとなるのでしょう?

ピティナ:ピティナ・ピアノコンペティションが「総合的な音楽力を高める学習機会」だとすれば、ブルグミュラーコンクールなどは、「初めてコンクールに挑戦する方へのステップ」であるかもしれませんし、日頃からレッスン等でなじみのある楽曲で「表現する楽しさ」を実感してもらう機会といえるかもしれません。

また、コンクール性を持たず学習の継続を日常の中で応援する「ピティナ・ピアノステップ」も、コンペティションと並ぶ両輪の企画として力を入れています。

多くのコンクールが林立していますが、それぞれが理念や特徴、素晴らしさを持っており、音楽教育業界全体が一丸となって、「誰もが、自分に合った階段を一段ずつ登り、ピアノを一生の友人にしていただけるように」という大きな願いのもとに、より効果的な学習サイクルを生み出していきたいと考えています。

7. これから挑戦する方へ

―― 最後に、これから参加を考えている生徒さんや指導者の先生へ、メッセージをお願いします。

ピティナ:心理学やビジネスの分野で用いられてきた「レジリエンス」=「こころの回復力・柔軟性・しなやかさ」という概念が、近年、子どもの教育分野でも注目されています。

主体的に学び、根気強く演奏を磨き、たった一人でステージに立ち、そしてどんな結果も受け止める。音楽コンクールを通じたこのような経験は、必ずや人生の糧になります。


ピティナ・ピアノコンペティションは常に、自分の力ひとつを信じてステージに向かうピアノ学習者の皆様、それを導く指導者とサポートする保護者の皆様を全力で応援するピアノコンクールでありたいと願っています。ご参加を心よりお待ちしております。


第50回ピティナ・ピアノコンペティションの参加申し込みは4/1(水)受付開始です

参加要項・課題曲楽譜は全国の楽器店にて発売中
下記の特集ページにて在庫があるお店もご確認いただけます

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